イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「知っておきたい仏像の見方」読了

2015年02月14日 | 読書
瓜生 中 「知っておきたい仏像の見方」読了

何回読んでも覚えることができないので同じような本を何冊も読んでいる。そのうち仏像の見分け方もわかってくるのかもしれないと思っているのだがどうだろう。

観音菩薩の話はおもしろい。
もともと観音菩薩は衆生を救ってくれる存在で、救ってもらいたい人の年齢や職業、身分などに応じて変幻にその姿を変えると言われてる。
最初は顔がひとつで手が二つの姿で彫られていたが、救ってもらいたい人が多くなってくるとみんなを見ていてくれないと困るじゃないかと顔が増えてきて十一面観音様が生まれたそうだ。そして今度は絶対救ってくれないと困るじゃないか、そのためには手がたくさん必要なはずだ、というので腕がいっぱいある不空羂索観音様が生まれたそうだ。この観音様が持っている紐(羂索)は狙ったものは必ず捕まえることができるのだそうだ。“不空”というのは、“空振りがない”という意味だ。間違いなく私の体を受け止めてくださいねという強い願いからこんな形にさせてっしまったのだ。
それでも不安な人たちは二つの菩薩様を合体させてしまった。これが千手観音様だ。千手観音は十一面でたくさんある腕のひとつには必ず羂索を持った腕があるそうだ。もうここまで来ると日曜日の午前7時30分から活躍する戦隊ヒーローが操る合体ロボットみたいだ。というか、こういう文化を持っているから戦隊ヒーローのようなクールジャパンなヒーロー達が生まれてきたのかもしれない。

不空羂索観音様は狙ったものを空振りなく捕らえることができる・・・。この像を僕の船にお祀りすると狙った魚が必ず釣れるようになるものだろうか・・・。

もっといろいろ知ってみたいと思っていたら、そういえば、ウチの仏壇にも小さな仏像が鎮座している。僕の家の宗教は浄土宗だ、ということはご本尊は阿弥陀如来。よくよく見ると阿弥陀如来独特の指で輪っかを作っているポーズである。人差し指と親指で輪っかを作って、右手を上に施無畏印、左手を下にして与願印のポーズだ。しかし、この人差し指で輪っかを作るこのポーズは下品下生となり、9個あるポーズのうちでは一番信仰心がなくって日ごろの行いがよろしくない人に対して結ぶ印だそうだ。
う~ん、これは困った。仏壇を買うときに値切ったのが悪かったのか、それともすでに如来様は我が家の品格をお見通しだったのか・・・。

しかし、ひょっとしたらまだ拝める対象があるということは救いとなってるのかもしれない。
仏教もかつては偶像崇拝を禁じており舎利を収めた仏舎利やお釈迦様の足跡をデザインした絵を拝んでいたが、西暦のはじまる前後に仏像が作られ始めた。「仏像から見られている」ということは人間の行き過ぎた行為を戒めてくれているのだと思う。万引きの多い店で、両目のイラストや写真を貼っておくと減る効果があるそうだ。人は何かに見られていると悪いことができなくなる効果があるということだ。仏様からは心の中をいつも見られているという意識が働いているのだと思う。
対して最近ニュースによく出てくる宗教は完全に偶像崇拝を禁じている。原理主義者の間では聖人の像でさえ偶像崇拝であるとされているらしい。そういう人たちの一部があんな残虐な行為を起こしてしまうのだとしたらいたるところに仏様があるこの国は不完全かもしれないが心のブレーキを維持してくれているのかもしれない。
そういえば、国家神道を国の柱としていたこの国も外国に対して、国民に対してひどいことを行ったが、これも崇める具体的な姿を持たなかった悲劇だったのかもしれない。



コメント (2)
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