ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ニュージーランドのシラーはクールなチョイス!

2013-02-18 22:41:01 | ワイン&酒
本日、ニュージーランド・ワイングローワーズ によるセミナーと試飲会が都内で開催されたので出かけてきました。

セミナーのテーマは、「ニュージーランドの秘宝 シャルドネ&シラー」

ニュージーランド(NZ)で栽培されているブドウのトップはソーヴィニヨン・ブラン、2位がピノ・ノワールで、この2つがNZを代表する品種と言われ、日本にも多く輸入されているのは、ワイン好きの方ならよくご存じのことでしょう。

今回は、第3位にランクインする“シャルドネ”と、ピノ・ノワールに次ぐ赤の“シラー”がテーマ。

第3位のシャルドネは、それでも栽培面積が3120ha、ブドウ生産量26000トンで、全体生産量の8%でしかなく、輸出ワインの中では、たった3%のみ。
この数字を見るだけで、トップ2がどれだけ強いかわかりますよね。

シラーを見てみると、栽培面積は354ha、ブドウ生産量は2000トンで、全体生産量の1%。輸出ワインの中の割合に至っては0.2%



今日は、シラー をピックアップしてみましょう。



シラーのNZの中での生産地は、ホークス・ベイオークランドの2地区に集中しています。

上記の図で最も多いオレンジの部分がホークス・ベイ(HAWKE'S BAY、282ha)、次に多いのがオークランド(AUCKLAND/NORTHISLAND、42ha)で、どちらも北島になります。

HAWKE'S BAY
より内陸の土地で栽培されるため、1日の気温の温度差が大きく、乾燥した気候。
色調は濃く、黒っぽく、味わいはスパイシーで、ブラックペッパーやプラムの風味が表れる。

AUCKLAND/NORTHISLAND
生産量の大半が、サブリージョンのワイヘケ島とマタカナ。島は海の影響が大きく、雨量が多い。気温の日較差はホークス・ベイよりも小さく、気候も冷涼になる。
冷涼な気候を受け、色はやや濃さに欠け、キイチゴなどのベリーやコショウの風味が表れ、ホークス・ベイよりも軽やかな味わいのワインになる傾向が見られる。



セミナーではこれら2生産地からそれぞれ2種類ずつのワインを比較試飲しました。

HAWKE'S BAY
 ・Mills Reef Elspeth Trust Vineyards Syrah Hawke's Bay 2011
 (輸入元:株式会社服部、価格:5040円)
 ・Bilancia Syrah Hawke's Bay 2010
 (輸入元:株式会社デプト・プランニング、価格:4500円)

AUCKLAND/NORTHISLAND
 ・Man O' War Dreadnought Syrah Waiheke Island 2010 (未輸入)
 ・The Hay Paddocks Syrah Waiheke Island 2008 (未輸入、おそらく5400円)

ホークス・ベイのワインの方がスパイシー感が強く、華やかさがあります
“Mills~”の方は色がやや薄めで、味わいは優美でエレガント、“Bilancia~”の方は果実味が濃厚ですが、甘さはなく、酸もしっかりとしています。

ワイヘケ島のワインはスパイシーさが穏やか ですが、“Man~”はタンニン量が豊富でビターなニュアンスが強く感じました。“The Hay~”は、年数が経っていることもあり、熟成のアロマ、風味、味わいがよく表れ、旨味たっぷりのフルボディ。果実味の中にビター感が少々あり、余韻がとても長く、これはウマイ!時間のなせる業ですね。



セミナーで供された上の4つのシラー以外のワインを試飲会場で探しましたが、なかなか見つかりません。生産量が少ない上に、輸出もわずかですから、仕方ないでしょうか。

が、見つけました!


左)Gimblett Gravel Hawkes Bay Syrah 2011 右)Hawkes Bay Syrah 2011   Trinity Hill
(輸入元:ヴィレッジ・セラーズ株式会社、希望小売価格:3850円、2650円)

右の “ホークス・ベイ・シラー” がスタンダードワインになります。酸のしっかりとした果実味がジューシーで、口当たりがよく、フードフレンドリーなワインです。これはシンプルな肉料理に合わせたい!アルコール12.5%。

左の “ギムレット・グラヴェル・ホークス・ベイ・シラー” は、このワイナリーのトップキュヴェである“Homage Syrah”の格落ち という、ラッキーなワインです。
果実味の凝縮度が強く、タンニンの骨格がしっかりし、厚みのある酸とのバランスが見事なワインに仕上がっています。まだ若いのでタフですが、落ち着いた安定感があり、将来が非常に期待できそうですね。

“オマージュ・シラー”は特別な年のみにつくられる超ハイエンドワインです(2007年ヴィンテージは12500円)。オマージュの格落ちのハイレベルワインがこの価格で飲めるのですから、ホント、これはラッキー

「トリニティ・ヒル」は、 “量よりも品質” をポリシーに、厳しい収量制限の下、ワインづくりを行なっているつくり手です。

NZでのシラーのワインづくりのポイントは 収量を落とす ことにある、と、セミナーで説明がありました。
「トリニティ・ヒル」も、まさにそれを実践している生産者、ということですね。



今回、シラーをテーマにしながら、試飲会場でシラーのワインの姿がほとんどなかったのが残念でしたが、NZのシラーのクオリティの高さがよくわかりました。
NZシラーは、エレガントで、しなやかさがあり、食事と一緒に楽しみやすいワインだと思います。
豪州のシラーズよりも、フランスの北ローヌのシラーに近い性格を感じました。

NZシラーのチョイスは、洗練されていてクール では?

輸入されているアイテム数は少ないかもしれませんが、出会いのチャンスがあれば、ぜひ試してみてください。


コメント
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