親が子どもをほめて育てることは大切です。
でも、子どもは、自分は万能ではないことにも気づかなければなりません。
思春期になっても、失敗しないよう、親が手をかけすぎ、失敗しても「あなたは悪くないのよ。まわりが悪いんだから」と、子どもをなぐさめ続けたとします。
すると、子どもは、自分の行動のどこが悪かったのか、何が間違っていたのかを、ふりかえり、自己修正する力を身につけることができません。
じつは、中学生が一人になり、自分を見つめ、自己修正する機会をもつことは、とても大切なのです。
さらに、子どもは失敗を誰かのせいにすることがあり、ごくまれにありますが、「そう、お母さんが悪かったのよ」と引き受けてしまうと、子どもは大人になっても、何でも親のせいにし続けます。
中学生は、親の評価のみならず、外界の客観的な評価を受けなければなりません。
親がいくら、「おまえはすごい」と言っても、客観的には「ふつうの子」かもしれません。
その現実を、子ども自身が受け入れ、自分の本当の力を知る必要があります。
小さいときからほめられつづけ、「自分はなんでもできる」という万能感から抜け出せず、自己のイメージを膨らませ続けた子どもは、社会に出たときには、必ずといっていいほど、大きな挫折を味わいます。
だからこそ、子どもは思春期に親に反抗しながら、親のいうことが唯一絶対ではないことを、思い知る必要があります。