子どものころ、私の家の近くの一庫(ひとくら)ほ川では、鮎が泳いでいました。
今でもそうですが、朝には小鳥のさえずりが聞こえてきます。(もっとも、この前の夏の暑さでは、早朝でも、鳥は鳴いていませんでしたが。)
そこで、次の言葉があります。
鮎は瀬にすむ、
鳥は木にとまる
人は情けの下にすむ。
(良寛)
混とんとした世の中で、人はともすれば自己の果てしない欲望の上に、自分の幸せを築こうとする。
「人は情けの下にすむ」とは、あらゆる生命との共存であり、他者へのいたわりの念です。
鮎は川に住み、鳥が木にとまるがごとく、人は他者のことを思うのが、自然の姿であるという教えだと解します。