私の母は高齢になり、自由に歩くことが難しくなってきています。
母が体力的に弱ってくると、私には忘れていた情が蘇ってきます。
私が幼い頃、病院通いをしていたとき、保育所に通うとき・・・
一緒に寄り添ってくれた日々を思い出します。
みなさんも、わが子を出産して、かわいがり、お子さんに寄り添った日々があることでしょう。
赤ちゃんを抱いたとき、自分がいのちをかけて産んだ子どもに、母性本能を注ぎ込んだ日々があったことでしょう。
まさに、母子一体の絆から子どもを育ててこられたわけですが、成長するにつれ、子どもはその一体感を忘れていきます。
そして、中学生になったいま、母子一体はすっかり分離してしまったと感じることもあるかもしれません。
しかし、赤ちゃんの頃の母子の強いつながりは、無意識の底にしっかりとインプットされています。
私が、最近、母と一緒に過ごした少年時代を思い出すのも、無意識の底にインプットされていた愛情が呼び覚まされるからだと思います。
さて、母子一体の体験の強い子は、総じて自己を認め、自分を価値のある人間だと思う傾向が強いようです。
いわゆる自己肯定感が高いのです。
そして、成長するにつれ、友だち、先生、先輩、地域の人との人間関係を広げながら、他者とつながり社会やコミュニティに参加していきます。
母子一体感とは、言い換えれば、子どもが母親にたっぷりと依存する人間関係です。
この母子一体感から始まり、人間関係を他者に広げていく中で、子どもは自分らしさに気づき、新しい自分につくり変えていこうとします。
このように、自己を変容していくことが、中学生らしい子どもの成長であるとも言えます。