教育を、サービス業になぞらえて、学校も「企業努力」をして、教育の質を高めるべきだという社会からの要請を受けるときがあります。
会社では、顧客が満足できるように、商品の質を高め、サービスの改善を図っているではないか。
だから、学校も子どもや保護者が満足できるように、教育の質を高め、教育内容を改善していくべきだ。
この論理は、一定の筋が通っています。
三中の子に楽しく充実した学校生活を送らせて、学力を向上させるために、三中教育を改善していくべきと、私も考えます。
学校教育自己診断(今週水曜日配付予定)のねらいも、その点にあります。
しかし、誤解をおそれずに言うならば、一般のサービス業に寄せられる要望や苦情と学校に寄せられるそれらでは、性質が若干違うと思います。
それは、サービスを受けるのは誰かという点です。
小売業などに寄せられるクレームは、商品が期待通りでない場合に起きます。
そこで、商品を改良したり、顧客のニーズに応える新商品の開発、さらに社員の接遇を見直して、研修で改善を図ります。
しかし、学校は、子どもの豊かな成長、人格の完成を目指しています。(教育基本法「教育の目的」)
その文脈では、保護者は学校教育の受け手ではなく、あくまでも、子どもが受け手です。
保護者と学校は、協力しあい、子どもの成長にかかわり、人格の完成を目指すために、ともに活動するパートナーです。
ですから、保護者の学校に対する要望や苦情は、子どもへの適切なサービスについての考え方や方法、教育環境などについて、お互いの立場を理解しあい、課題があれば改善していく機会となります。
保護者の願いと、学校が目指す方針をすり合わせ、教職員と保護者でともに子どもを育てていくことが重要になります。
保護者と手をとりあって行う営みが、学校教育の王道です。
それならば、三中の保護者の方は、わが子がどのように育ってほしいと願い、学校にどう努力をしてほしいのかを伝えてくださればいい。
三中はそれをわかろうとしなければなりません。学校の教育目標と学校で行なっている活動を伝え、理解してもらわなければならないのです。
その上で、保護者の方に分担してもらえることをお願いしたいと思います。
このパートナー原理が、公教育をつらぬく主軸なのです。