箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

強みに光を当てる

2019年06月09日 07時44分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
私が作っている畑では、いま野菜がツルを伸ばしています。
 
その野菜は、光が当たる方に向かってツルをメキメキと伸ばしています。
 
 
同様なことが、子どもの成長にもあてはまります。
 
以前、私が合唱の指揮をしている生徒に声をかけたことがあります。
 
その生徒は、歌う友だちの大きな声を引き出そうと、曲調にあわせ体全体を動かして、自らも歌いながら指揮をしていました。
 
わたしは、「きみは指揮がうまいね」と評価をしました。
 
すると、今まで本人が意識していなかった「自分は指揮が上手」という点に意識が向きます。
 
そのうちに、その生徒は自然に進んで、練習を一人でしていました。
 
イメージトレーニングのように、メロディを口ずさみ指揮棒を振って練習していました。
 
そのうちに、さらに指揮がうまくなりました。
 
 
 
 
また、合唱の伴奏をしている生徒にも声をかけたことがあります。
 
「きみはピアノ伴奏がうまいね。みんなが歌いやすいと思うよ」。
 
その生徒は、全面が見える楽譜をピアノの譜面台に置いていました。
 
「これは、どうしたん?」
 
「演奏の途中で、楽譜のページをくるのはたいへんなんで、縮小コピーをつなげて一枚にしました」と答えました。
 
「そうか。そうやって工夫をするから、うまく弾けるやね」
 
おそらく、その子の場合は、「工夫をすること」に意識が当たりました。
 
おじいちゃんが、後日校長室を訪ねてこられ、わたしに言ってくれました。
 
「孫は、勉強するときも、なんやらいろいろ工夫して、コツコツとやってますわ」
 
その子は自分から進んで家庭学習をしていることを、おじいちゃんが私に教えてくれました。
 
 
 
以上のことから、人間はその強みに意識を当てると、伸びていくことがわかります。
 
 
そこで、わたしが思うことがあります。
 
ふつう、子どもはちょっとほめられただけなら、そのことはすぐに忘れてしまいます。
 
だから、そのことを記憶にとどめておくといいのです。
 
ノートに年月日を入れ、ほめられたことを書き込んでいきます。
 
ノートでなく、スマホにメモするのでもかまいません。
 
そのメモは、ほめられたり、好評価を受けたものだけを記入します。
 
何年か経つと、そのメモは光を当てられた自分の強みだけになります。
 
そして、そのメモに書かれている記憶は、ずっと意識されていくようになります。
 
このようにして、子どもは成長して、伸びていきます。