子育てにおいては、以前に何度か触れていますが、幼少期にたっぷり依存したひとほど、自立するのが早いという事実があります。
その意味で、幼少期に親から虐待を受けて大きくなった人は、大人にたっぷりと依存する機会が乏しくなり、自立が遅くなる傾向があると考えられます。
私は、自立とは人が生きていく上で、自分のことは自分でしようとするが、自分だけではできないときに、「助けて」といって助けてもらう人間関係をもつことが自立であると、再三述べています。
しかし、最近では、本来、自分のことは自分でするべきなのに、他者に助けてもらおうとする人もいるように思います。
人にたよるか、たよらないかという線引きはもっと先にあるのに、その線引きの手前で人に甘えるのは、他者にもたれかかっていることになります。
その甘えは、金銭面でたよるとか、経済面で援助をたよるということにもなり、人間関係にヒビが入る場合もあります。
しかし、そんな人ほど、「自分は一人で生きていける」と思っていることが多いようです。
中学生は、人に協力を求めなければならないときに、協力を依頼して、自分でやるべきことは自分で責任を負う。
このことを学習する毎日が、中学校生活です。
もちろん中学3年間でその学習は完結するわけではありません。
しかし、その基礎は中学校時代に身につけてほしい。
つまり、中学校では、「自立した人」になるのではなく、「自立に向かう人」になるかどうかが問われているのです。