私は通算で6年間校長を務めましたが、最後の3年間は母の介護をしながらでした。
とくに平成29年は、校務と介護を両立させるのに、けっこうたいへんでした。
教頭先生の理解とサポートがなければ、少しの時間でも学校を抜けることができなかったであろうと、いまふりかえります。
さて、2015年のわが国の年齢構成でいちばん多かったのが、35歳〜44歳の人たちでした。
ちょうど中学生の保護者世代が重なる年齢層です。
2025年には、この人たちは45歳〜54歳になります。
サラリーマンでいえば、役職が上がり、責任が大きくなります。
ところが、私生活では親御さんの介護が必要になってくる時期でもあります。
このとき、30代の人びとは、一般的に仕事と子育てに悩む時期ですが、当該の45歳〜54歳な人たちは、仕事と介護の両立が課題になるでしょう。
私の場合は、母親(実母)を病院へ連れていったりしながら、若かった頃の母との日々を思い出していました。
親が歳とっていくのに寄り添うのは、精神的に辛いものがあります。
その経験から思いますが、2025年に親の介護にあたる人たちにとって、高齢化していく親の世話は精神的にこたえますし、あとになるほどその重みがましてきます。
また加えて、いま中学生のお子さんをおもちでしたら、その子たちは2025年ごろには、まだ大学生であり教育費にプラスして介護費用がかかり、経済的な問題が出てくることも予想されます。
管理職世代が介護を担うことで、職場にも影響が出る可能性があります。
深刻な場合は、いわゆる「介護離職」の問題となります。
このとき、問われるのが会社や職場の理解とサポート体制です。
いま、少しずつですが、子育てを支援する体制や制度が企業の中で整ってきています。
今後は介護を支援する組織が求められます。
これからの職場は、仕事と構成員のプライベートの両立をサポートする組織になれるかどうかが、労働者人口の維持をきめると言えるでしょう。