親であればこそ、わか子には失敗をしてほしくないと思うのは、もっともなことです。
誰だって、親ならわが子がつらい目にあったり、苦しんだりするのをみたくないものです。
ただ、だからといって、親が先回りして、子どもが失敗するのを何度も回避してきた子は、困難なことや挫
折したとき、あきらめてしまうことが多くなります。
その一方で、幼い頃からうまくいったり、失敗したりしてきた子は、中学生になっても、つきぬけています。
結果を受け止め、努力が足りなかったと感じるとともに、乗り越えようとします。
ただ、困難に出くわすと、あきらめてしまう子が中学生であっても、「失敗は宝である」と大人が我慢強く教え、導くと子どもは成長します。
失敗して、「もうイヤ」と言うのは、「自信がない」の裏返しです。
「止めるのはあなただけど、そのイヤな気持ちのままで終わったら、もったいないよ。あきらめたら、そこで『試合終了』だ」と、くじけそうになる子の気持ちに寄り添います。
「転んだら、何かをつかんで起き上がれ」。
これは、私がよく生徒に伝えてきた言葉です。
失敗しても、そこから立て直す経験を通して、困難を乗り越える人へ成長します。
子どもが失敗したときに、大人が言うとよくない言葉は、「あなたには難しいことだったのよ」と、慰めるセリフです。
この言葉は、現状から目をそらすことになります。
子どもを傷つけたくないからこの言葉が出ます。
なかには、親も傷つきたくないという思いが含まれているかもしれません。
しかし、できないということはダメなことでしょうか。
人はみな、できないことから学ぶのです。
「失敗にも必ず意味があります」。
この言葉も、私がよく生徒に伝えてきました。
さらに、もっと言うならば、中学生は友だちとの差が見えやすいという学校のしくみのなかに、身を置いています。
自分はできないのに、あの子はできる。
このことに気がつくことも、失敗した子には、大切なことです。
友だちのことを、「あの子はすごい」と感じることも、子どもの成長という点で大切なことです。
他者を尊重するとともに、自分は自分で努力を重ねる。
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この過程をくぐり、子どもは成長していきます。