私は、中学生と話す教師は「聞き上手」であるべきだと考えます。
生徒が教師に悩みや相談ごとを持ちかけてきたとき、
教師は聞き上手であるなら、いいことが起こります
話す相手が聞き上手な人だと、話した側は気持ちがよくなります。
私の言っていることをわかってくれたとか、理解してくれていると思えるので、話してよかったと思えるのです。
ところが、多くの教師は往々にして話し好きです。
もちろん話してもかまわないのですが、教師はとかく、生徒が少ししか話していないのに、「ああ、そういうことは私にも以前に~ということがあってね」と自分の話をし始める人がいます。
これは、聞く人が親の場合にもあると思います。
わが子が聞いてほしいと思って話すのに、途中から「お母さんにも同じようなことがあってね、それは~というものよ。だから・・・すればうまくいくのよ」で自分の意見や考えを伝えます。
中学生やわが子の言うことをよく聞かずに、口を挟み自分のことを話すのは、人の話を結果的には「盗って」しまうことになるのです。
明石家さんまの『踊る!さんま御殿!!』を観ていると、さんまさんはゲストが話すことに「え~、それで」「ほんで、どうしたんや」というように口を挟みますが、相手の話を盗って自分のことを話したりはしません。
彼はゲストの人に話を振ると、話しきらせます。
そして、最後まで聞いて床に倒れるというような大きなリアクションをして爆笑を起こすので、話した方も楽しんでくれた、また周りも楽しんでくれたと満足できるのです。
明石家さんまさんは、一見、話し上手な人に思えますが、じつは究極の聞き上手な人でないかと思うのです。
生徒や子どもの話を聞くことは、それほど簡単な技術ではないと思います。
黙っていてはダメで、あいづちを打ったり、「へー、それで」とか「あー、なるほど」「うんうん」と同意したりするのはもちろん、聞きながらも相手の話を要約できるほど理解している必要があるのです。
いい加減に聞いていれば、相手は中学生です。見透かされてしまいます。
そこで、一生懸命に、真剣に生徒やわが子の話を聞いていると、聞いた側も「ああ、そういう考えもあるのだ」と自分の視野を広げてくれることにもつながるかもしれません。