子どもへの虐待が深刻な状況になっているのが昨今の子育て事情です。
幼い子が命を落とすという深刻な事件が報道されます。
子育ては、赤ちゃんが生まれたらすぐに始まるのですが、誰でも初めてのことはわからないものです。
夜泣きする子ども、泣き叫ぶ子どもを目の前にして、どう接したらいいかわからないのが当たり前です。
私の家では、おじいちゃんとおばあちゃんがいました。
同居していたので、子育てを力強くバックアップしてくれました。
しかし、祖父母と同居している家庭が少ないという現状で、親は手探りで子育てをしています。
子どもとの楽しい生活が始まると思っていたのに、子どもとのかかわりが苦痛になってしまう。
言うことをきかないわが子にイライラして、虐待に至ってしまう家庭があります。
このように虐待が起きますが、問題はその親に対する世間の人びとの「まなざし」です。
メディアも悪人扱いして報道します。またニュースや情報を受けた人も「とんでもない親」と言います。
行政も「とんでもない親」と捉え、虐待防止に取り組みます。
しかし、「かわいいわが子を虐待するなんて」と非難する人は、自分が子育てで途方にくれたり、泣く子どもをどうやったら泣き止むのかわからず思い悩んだことなど、すっかり忘れてしまっています。
その親が、孤立無援のなかで、誰にも相談できず、手探りで子育てをしたが、うまくいかずどうしていいかわからず、立ちすくんだ結果であると思いを馳せる人がどれだけいるでしょう。
もともと子どもを愛していなかった親はいないはずです。
かかわり方がわからないのです。
悪人の親がいるのではない。
子育てのやり方がわからない親がいるだけです。
今の時代、もっと子育てをする親に、世間や社会や行政が温かい「まなざし」を向け、孤立しがちな子育てに想いを寄せ、サポートするしくみが求められます。