東日本高速道路などによる住民説明会が行われたことを受け、被害者住民らでつくる「外環被害住民連絡会・調布」が三日、調布市内で記者会見を開いた。住民らが求める陥没・空洞の中立的な第三者による検証やシールドマシンの振動による影響調査の実現がままならない中で浮上した「仮移転」という名の一時立ち退き。新たな事態に住民らがほんろうされている。 (花井勝規)

 「シールドマシンの掘削で緩められ壊された地盤は私たちのものです。元通りに戻してください。私たちの平穏な暮らしを奪い、地盤を補修するから『住民は立ち退け』という事業者の勝手な論理は許されない」

 連絡会の共同代表で、自宅の隣の地中に二つ目の空洞が見つかった菊地春代さんは、そんな切実な声明文を読み上げた。

 さらに東日本高速が検討している地盤補修について「草も木も生えないセメントや化学溶液を使った地盤補修など真っ平です」と、効率優先の工法選びにくぎを刺した。

 自宅前の空き地で一つ目の空洞が見つかった男性(74)は先週、東日本高速の担当者から仮移転の説明を受けたと明かした。「トンネルの直上からでないと地盤補修工事ができない」「(男性の土地を空けてもらわないと)重機が入らない」などと言われたという。「立ち退きは当事者だけでなく地域にも重大な問題。大多数の人がこれなら大丈夫と納得できる補修工法を選んでほしい」と注文を付けた。

 共同代表の滝上広水(ひろみ)さんは「一時的とはいえ該当エリアは全世帯立ち退きが基本方針とは乱暴な話で、住民への押しつけは許し難い。連絡会として住民説明会の開催を改めて求めたい」といぶかる。