ダブダブ姐さんの聞き書き2
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Kの花嫁支度
Kさんには二人の姉と一人の兄がいた。
Kさんは末っ子だった。
Kさんの母のTさんが死別した夫の子たちを郷里に預けて
再婚して産んだ子どもだった。
長女は養子をもらった。
長男は養子に行った。
次の姉は嫁に行ったが、夫が戦死したので戻ってきた。
嫁入り道具も戻されてきた。
当時、端布一枚でも手に入れるには
衣料券がいる時代だったので貴重だった。
長姉は、これをKさんの嫁入り支度においておこうと思った。
しかし、空襲でいつ丸焼けになるかわからない。
そこで、しっかりした箱に入れて、砂浜に埋めた。
湿気たものもあったが、立派な支度になった。
紫のを祝言の時に着た。
長姉が決めたことに誰も口をはさまなかった。
着物はいまもKさんの家にある。
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Kさんの嫁入りは今から61年前。
Kさんはダブダブ姐さんの母上です。