
ま・く・ら
柳家小三治
講談社文庫・667円
☆☆
小三治師匠の、マクラばかりを集めた本。
でも、これだけでも充分おもしろい。
落語でもそうだが、小三治師匠が、常にご自分だけではなく、
相手の立場で、物事を考えられる人間らしさがあるからである。
最高作は、「駐車場物語」・・・・・
これなんぞは、マクラでありながら、一席の落語。
物語は、賃貸の駐車場に浮浪者が住みつくが、
それを止めさせる手段はいろいろありながら、
なぜか、おどろき、とまどい、いきなりの侵入者の立場で、
自分自身が、納得する理由を探し出す。
落語、本来の、人の優しさ、温かさを感じる、名作である。
「郡山先生」のところでは、
幸せにについて、小三治師匠は次のように述べている。
「じゃ、幸せって、何だっていうとね。
ちょっと幸せ、ちょっとうれしいこと。それが幸せではないかと」
普通は、一日に少し幸せ、うれしいことのかけらを、数珠つなぎして、
それを、大きな幸せになるんだろうなぁ」と・・・・・。
つくづく、このごろ、小さな幸せを、感じるようになりましたが、
この本も、その小さな幸せを感じさせてくれる本でございます。
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