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雀の手帖
幸田文
新潮文庫・400円
☆☆
雀といえば、落語では「雀のお松」。
しゃべりで亭主を尻にひく、気の強い女性の代名詞であるが、
この本の、雀、幸田文さんは、いたって上品。
初稿は、西日本新聞に連載されたのであるが、
日本の古き良き時代を、淡々とした文章で綴る。
入試のところでは、入学願書を出すときが梅で、試験が沈丁花、
卒業式が辛夷、入学が桜ではじまる・・・・・と。
暦とは違う、肌で感じる季節感が羨ましい。
思いがけなくいい美術品を見たとき、きょうは眼の福を頂きました。
美味しいものを、ごちそうになったとき、口の果報にあずかりましてと。
今では聞くことのできない、言い回し、あいさつがかかれている。
都会のおばあちゃんの家に行ったような、
日本の古き良き文化を知ることのできる、本である。
この本を読むなら、一年中で、この季節が一番のお勧め。
というのは、連載が、1月26日から5月5までの100日間で、
「雀百まで」の洒落か・・・・・・私は、目次に日付を入れて
寝る前に日記替わりに、1ページずつ読んでおりました。
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