落語の世界
五代目・柳家つばめ
河出文庫・900円
☆☆
落語の世界の説明に、まず、落語家の自殺からはじまる。
著者の、五代目柳家つばめは、
落語の世界の人間は、落語に淫してる。落語に蝕まれている。
落語という泥沼に落ち込んでいて、這い上がれ人々なのだと・・。
そして、そうならなければ、落語はできないとも言い切る。
33年前の、落語の世界で、現在とは違いもあろうが本質は変らないだろう。
落語家が、売れる売れないは、師匠の責任ではなく、すべて当人の責任であり、
ただ、売れるように、助力するだけで、落語の成功は、本人の力以外には、何もないと。
ただし、本人の力、とは、芸だけとは言い難く、その人の人柄もあり、外交力もあり、
師匠の力も、本人の健康状態も、すべてまとめられたものが、当人の力である・・と。
しかし、最後は芸の力である。
特別、自分自身で、出世のじゃまになる行為さえしなければ、
その芸に見合った出世は、約束されていると。
そして、落語界は、非常に公平な社会である。
しかし、公平であるが、テンポはのろいが故に、
じれったくなったり、利口者には、辛抱できない社会とも言い切る。
古今亭今輔師匠が、つばめさんに言ってくれた言葉に、
「落語はね、自分で、ちゃんとやってれば、それでいいんですよ。
よけいなことを考えてはいけませんよ。自分は下手だからうまくいかない、
もっと何とかしなければ売れないんじゃないか、とか、よけいなことを考えないでね
ちゃんと自分でやってれば、それでいいんです。」・・・・・がある。
今や上方落語界も、次々に落語家志願者が入り、新しく弟子をとる師匠も増えてきた。
この本を読むと、芸に対する悩み、売れる売れないなど日頃の現場の悩みが、
生き生きと伝わってくるだけに、
あせることなく、くじけることなく、一途に、芸に精進されることを願いますな。
・・・・・・・最後は芸の力である、と信じて・・・・・・・・・・・
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