![]() | 江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか? 落語でひもとくニッポンのしきたり (小学館101新書 84) |
クリエーター情報なし | |
小学館 |
題になっている「江戸っ子はなぜ、宵越しの銭を持たないのか」という章では、
金も出世も災難と言いきる。宵越しの銭を持たないという生き方の基本になっているのは、
「金離れがよく物事に執着しない」という生き方。儒教は商業を「悪」と位置づけた。
物を生産せず、右から左へ動かすだけで利益を上げるからだ。しかし人間生活には流通は
欠かせない。そこで、江戸時代の商人は、「信用」を第一に考えた。
大きな収入が集中した豪商の時代には、彼らは、運河の開削や洪水防止の為の運河の整備、
橋の整備、港の建設など自らの商売に役立つとともに、社会に大いに貢献した。
中小商人は、「質素倹約」であり、「稼ぎ過ぎない」というのが、儒教的倫理観である。
儒教仏教両方に共通するのが、商人の「社会的貢献」だと。
仕事は「私する」ものではなく、社会を豊かにするものと。
「宵越しの銭を持たない」の「銭」は、職人たちにとっては仕事の結果であり、
その仕事の結果を自分の為にだけに使わない、人と一緒に生きていくのだ、
というのが、この言葉の意味だと、
この今の時代にとって耳が痛い様な、自己責任とか言いながら弱者切りすての風潮。
「足るを知る」「ささやかな幸せ」なんぞ、震災後の今だからこそ、見直すべきことと感じる。
小学館が刊行したCD付の隔週刊誌「落語・昭和の名人・決定版」に江戸学者、田中優子さんが
連載した「江戸のしきたり」をまとめたもので、落語ファンなら、落語の世界に浸りながら
愉しめます。
でも、誰か上方の「気で気を養う」なんぞの、庶民の底ぢからの笑いで吹き飛ばす、
上方のお人の気質はいかなるものか、の本を書いてもらいたいもんですな。
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