9月のある日、友人の50代主婦エメに「明日ヒマ?」と聞くと、
「ダメ!! 忙しいの。ドマティ(トマト)とチュシュキ(ピーマン)で。」 はあ? 何でトマトとピーマンで忙しいの??
この頃どこでもパザール(市場)ではトマト、「チュシュキ」といわれるピーマン、パプリカ、トウガラシのたぐいの野菜が大量に売られています。そういえばみんな箱買いしてるなあ。サラダで食べるには多すぎるよね~。私だけ1~2Kg単位で買っているけどまわりの人は10Kg単位・・・
聞いてみるとこれらの野菜を使って保存食を作っているのです。確かに、今ぐらいの気候のときはいいけど、毎日マイナス何度になる1~2月くらいにはパザール内の野菜屋はほとんど閉まってしまいます。あるのは豆、古びたカルトフィ(じゃがいも)、輸入物のオレンジ、ハウス物のクラスタビッツィ(きゅうり)・・・だから今から蓄えるわけね~。
で、どんな風に作るの?と聞くとこれがまたみ~んなちがう!! 基本的にはトマトを肉挽き機のようなものでピューレにしてビンに入れる・・・ここまでは同じですがそこから先がいろいろで、トウガラシを入れたり、ピーマンを入れたり、玉ねぎを入れたり!!! 味付けもさまざまで、塩だけでなく、巣、砂糖、はたまたチュシュキのビン詰めのほうには発酵を促進するために何とアスピリンを一錠入れるとか!! なんだか薬くさくなりそうだなあ~。
全部入れたビンをビンごと大なべで煮てそのあとビンを上下さかさまにして何日かたつと保存の準備完了!食べられるようになるのです。
これが結構大仕事で、エメ(エミリア)は「いつもは70本びんづめを作るんだけど、今年は40本!!」。出回っているビンは1本500gくらいのピューレが入れられる大きさですから・・・ヒェ~ッ!! スゴイ量だ!!!
先日もカフェでコーヒーを飲んでいたらとなりのテーブルのおばあさんたちが自分の作るのがおいしい!! と「手前味噌」ならぬ「手前”ブルカンチェ(ビン詰め保存食)”」の話題でもちきりでした。(これが結構危険な話題で、おばあさんたちの間で議論、ひどいとケンカの種になったりすることもしばしば・・・) そしてこの時期、多くの家の軒先では、おばさん、おばあさんたちがトマトをピューレにしている様子を見ることができます。散歩中に写真を撮らせてもらいました。この風景、この時期の風物詩のようなものです。
でも、エミリアはため息まじりにこういいました。「1本ビンを開けちゃうと、5分でなくなっちゃうのよね~。」 チョッとむなしい・・・でも、おいしいから仕方がない!! 店でもピューレやリューテニッツァというトマトソースは売ってるけど、手作り、つまり「ドマシュノ」に勝るものはないもんね。エミリア、がんばって作って!!! おすそ分けお待ちしていま~す!!