テレビで糠つけを作る人が増えたと言ってました。
「糠床男子」という言葉も生まれているそうです。
大変いいことだと思うのですが、ちょっと?が
心に残りました。
発酵糠床は、1週間に1回手をいれれば
良いとのことです。
月に1800円払うと、お店の人が置いてある糠床の
手入していてくれ、本人は糠漬けを受け取りに
行けば、美味しい糠漬けが食べられるそうです。
手軽で便利だけれど、何か違うよな~と
思ってしまう自分がいます。
私は夏場も糠床を冷蔵庫に入れてないので、
日に何回も手をいれます。
外出した時は、帰って来て一番に糠床の処に
飛んで行ってかき混ぜました。
そうしてると、糠床に愛着が湧いてきます。
多分、こういう行為が大事なんじゃないかな
と、思うのです。
初女さんも、講演などで何日も家に帰れないと
糠床が気になってね~と言われてました。
初女さんが亡くなる1年前に、私やランディさんに
最後に教えて下さったのが、ぬか漬けでした。
1月の凍てつく台所で、初女さんが
震える手で、きゅうりのイボイボを剥かれていた
お姿は、心に深く刻まれています。
私たちは、初女さんのいのちの炎がもう長くない
ことを感じ、息を止める様な緊張感で
初女さんが糠漬けを漬けるのを見ていました。
心をかける、ということを目の前で見せて
下さったのです。
糠漬けの美味しさを、みんなが知ってくれるのは、
それはそれは嬉しいことですが
昔から、日本人の生活の中にある「手塩に掛ける」
ということを、忘れないで欲しいと思うのです。
初女さんは、心をかけるとは手をかける
手をかけるとは時間をかけると言われてました。
時短ばかりが重要視され、大切な心が
なければ、心に響く味にはならないと思うのです。
そして、初女さんが「糠床は私物多様性」と
言われていたことの意味は、手塩にかけないと
分かってこないかもしれません。
寒くなり、カブや大根のぬか漬けが美味しく
なりましたよ~