これは、今年の春に撮った、ヤマザクラの花です。小さな山の斜面に、ネットフェンスの向こうから乗り出すように咲いていました。たまたま車で通りかかって、あまりに美しかったので、これは絶対撮らなければと、撮りにいったのがこれです。
前のブログでも使ったので、覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。
ほんとうに美しい。また来年も会えるのが楽しみです。
昨日は、体力的に苦しかったのですが、どうしても見たかったので、隣町の美術館まで車を走らせ、展覧会を見にいきました。
印象に残ったのは、美しい兄弟の肖像を描いたものと、月とサクラを描いた屏風です。画家の名前は前者が菊池契月、後者が加山又造。菊池の名前は、昔女性の絵をどこかで見たことがあり、それがとてもすがすがしく美しかったので、覚えていました。またいつか、見てみたい。伏せた目と、まっすぐに見開く目の向こうから、澄み切った真実を語ろうとする魂が見えてくる。そんな感じの絵でした。
加山又造の絵は二つあって、月とサクラを描いたものが、とても強く、重く、響いていました。声の出ぬうめきが、大地を揺るがそうとしているかのような、怒りでした。この世のものではないような、真に美しいものが、あまりにも愚かな理由で汚され、壊され続けている。その苦しみに、紅蓮を越えた、黒い怒りで答えようとしている。
あまりにも苦しすぎる。
画家は、この世界のあらゆるものに、阿呆だ、と叫んでいるようだ。しかもその真っ只中にいて、完全に痛い、苦しい、強いものを作ろうとしている。激しく痛い、自らの背骨を砕いてでもあげたい真実の叫びを、凍りついた岩の中であげようとしている。
それはいったいどんな創造なのか。苦しすぎるもののなかであげる真実の魂の叫びはどんなものでしょう。これも見てみたい。
美しいですね。
帰ってから、すぐに横になって眠りました。久しぶりによく眠りました。疲れはありましたが、やはり見に行ってよかった。
この世界は美しい。この世界の美しいものを、いっぱい見てみたい。