世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

淡雪

2013-07-01 03:13:25 | 詩集・試練の天使

淡雪のごとき ほほえみの仮面に
隠していた まなざしが
みていた はるかな故郷の
夢の いざなう声に
あなたは 白い人差し指の一本で
カシオぺイアの小屋を 差した

すきとおった シロフォンの音の
かすかな石組で作った
小さな小さな 星の岩屋を

ヴァイオリンを弾きましょう
あなたのために

もう目を覚まさなくていい

淡雪のごとき ほほえみを
風にとかし
絶望に凍ってゆくまなざしに
目薬のごとく 光を塗りこみ
無理矢理 希望を見出そうとした
あなたは

歩んできた千里の道が
記憶の向こうにかすんでいく
もう夢にしてしまいなさい
すべては

ひといきのまどろみの中に
溶けて行った かすかな夢のなごりに包み
忘れてしまいなさい

もう 目を覚まさなくていい



コメント (1)
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