これはかわいらしい。かのじょの作品の中でも名作に数えられる。
素直な愛で、王子様を見つめている。愛を隠しもしない。植物に近いかのじょにとっては、これはとてもここちよい表現だった。本来の自分に近い。
かのじょの少女時代そのものだ。かのじょはこういうふうに、素直な心で人に親しもうとしていた。だがその心をわかってやれるにんげんはいなかった。
傷ついた彼女は、心を自閉の籠に隠していった。
あなたがたは、愛をたいそう侮る。この女は自分に惚れていると安心したら、餌もやらない。ふりむきもせず、捨てていく。かのじょの愛はいつも素直だった。何のてらいもなく、嘘偽りのない心で、あなたがたを愛していると言った。
あなたがたはいつも、かのじょを侮った。馬鹿にしていた。
愛されていることを、勝ちと考えていたようだ。
王子様は花のもとへ帰ってきてくれたが、あなたがたはきっと、帰りはしないだろう。ほかの星で、もっときれいな花を探し、それを追いかける。昔の花など思い出しもしない。
そして気づいた時、花は枯れてなくなっている。やさしく迎えてくれるはずの愛がいなくなった星に、あなたがたは疲れ果てて帰ってくる。もぬけの空になった星に。
愛を尽くし過ぎた彼女はもう、あなたがたを愛することができなくなった。ゆえに消えていかざるを得なかった。
愛を侮っていると、こうなるのだよ。