世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ベルムーデス夫人の肖像

2016-06-02 04:11:05 | 霧の風景


フランシスコ・デ・ゴヤ、18世紀スペイン、ロマン主義。

華やかな帽子やドレスや、自分を大きく見せる髪形などが、少々ちぐはぐに見えるのは、本人の目が強いからだ。自分をよく見せる必要などないのに、よく見せようとしているからである。眼光と風貌があっているので、本物の女性だが、当時の閉鎖的社会の中で、個性のすり減ってしまった魂の姿が見える。この女性は自分を生かすために自分を殺さざるを得ないのだ。派手なドレスや髪形は、それがないと自分に耐えられない人間なのだという、人間への侮辱でもある。馬鹿が支配する厳しい社会の中を生きる、本当の人間の一つの姿であると言える。






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