ガブリエレ・ミュンター、20世紀ドイツ、表現主義、女流。
ストックホルムの街が見える窓を背景に、女性がこちらを見ている。寂しげで遠いまなざしだ。その視線の先には、たぶん愛する男がいるのだろう。ガブリエレ・ミュンターは一時期、ワシリー・カンディンスキーの恋人であったらしい。彼らは人生の一時期を共に生き、互いに助け合い、影響し合った。その恋にどういう終末があったにしろ、愛していたのだという真実は変わらない。この女性のまなざしには、たとえ今は悲しく別れても、いつかあなたともう一度出会いたいという、女性の切ない心が隠れている。いつかあなたと、もう一度出会いたい。その心に、男はもう真剣に応えねばならない。