ジョージ・スタッブス、18世紀イギリス、ロマン主義。
スタッブスは馬や犬などの動物を描くのに優れた画家である。それが人間を描くとこういうことになる。絵画的に理想化していない形は、かなりモデルに忠実に描いたものであろう。弱い目つき、バランスのとれていない体型に、人間の心の危うさを感じる。人間はまだ小さいのだ。知恵はあるが知性はそう高くない。無知ゆえの恐怖が皮膚をピリピリと覆い、それが時にむごい衝動を生む。あらゆる暴虐を働いて、世界を席巻してきたものの正体は、こういうものなのである。人間とは一体何なのかということを、深く考えさせるものである。