アルテミシア・ジェンティレスキ、17世紀イタリア、バロック、女流。
形の美しさだけではない女性存在の魂を感じる作品である。画家は若い頃に男によって凌辱されたというむごい経験を持つ。男は時に、女性存在のすばらしさ、美しさに驚き、それを自分のものにしようと暴力的に支配しようとする。そして女性を無理やり自分のものにしてしまうと、とたんに女性を馬鹿にし始める。だが女性存在の魂は男のものではない。それは女性自身のものなのだ。自分の存在を汚され辱められた人間の激しい苦悩を、この作品は強く表現している。まことに美しい。