世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

空に

2013-05-02 07:03:13 | 詩集・貝の琴

かなしみを 鳩に託して
空に解き放つ
影を塗られた
君の微笑みの仮面の
割れ目に潜む
ちいさな黒いトカゲが
白アリのように
君のたましいをむさぼっている

なにがほしいときくと
君は言う
おまえが ほしいと
わたしが ほしいと
君はだれにでもそういう
すべてが ほしいと
自分以外の すべて

悲しみを 鳩に託して
空に解き放つ
地上をただよう
硬い幽霊の群れが
何もない空っぽの魂を抱いて
歩いていく
風の中を泳ぐ
見えない魚が
ミントの香りを放ちながら
君の心臓を通り抜けていく

悲しみを鳩に託して
空に 解き放つ
見てしまった真実のかけらに
わたしの心臓は
水をたっぷりと吸った海綿のように
重く垂れさがる
けれども

夢のように 希望を解き放ち
静かな声で歌うわたしの
誰の耳も染めぬその声を
風がさらってゆき
白い鳩の翼を染めて
太陽に溶けてゆく

悲しみを鳩に託して
空に解き放つ




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

解脱の導き

2013-05-01 07:01:43 | 天使の小窓

「これから、解脱の導きをおこないます。」

「まず、自分を一歩前に、真っ直ぐに出して、自分を自分の真ん中に座らせなさい」

はい、座りました。

「自分が少し大きくなった気がするでしょう。」

はい。

「それでは次に、確かめなさい。自分の意志、感性、ありますね。手足、目、全身を、自分存在として、実在として、リアルに感じてみなさい」

はい。

「気が付きましたか」

はい。わたしです。わたしがいます。

「どうです、歓喜がくるでしょう」

はい。

「それでは次に、3秒前の自分を思い出しなさい。まるで別人のように感じるでしょう」

はい、あれ、だれや? …おれ、あんなこと、できへん。

「本当の自分に戻ったからです。さっきまでのあなたは、本当の自分ではなかったのです。どうです? 実在の自分、真実の自分とは、すばらしいでしょう」

はい。わかります。おれ、ものすごい、ええやつや。

「そのとおり。神はあなたにおいて、すばらしいものをおつくりになったのです。あなたは、愛のすばらしい存在です。すべてがそろっている。何かほかに欲しいものはありますか?」

ありません。おれはおれだけでいい。

「昔欲しがっていたもの、いろいろありましたね。要りますか?」

いりません。自分だけで、それでなんでもできる。なんでもしたい。この俺、この自分を…。

「そう、それは魔法のことば。『自分の自分』。どうです、自分が燃えてくるでしょう。その、あなただけの自分を、ぜひやってみたいと思うでしょう。永遠にやり続けていきたいと思うでしょう。そして自分には、どんなことも、なんでもできると思うでしょう。あまりにも素晴らしいと感じ、あなたは幸福でたまらない」

はい、幸せです。なんでかって、ほんとうのおれだからだ。

「そのとおり。これで、あなたの中に天国が成立しました。あなたはもう二度と、愛を裏切ることはありません。本当の自分とは、本当の人間とは、こういうものだったのです。あなたは愛に満ちている、すばらしい存在です」

そのとおりです。わかります。すべては。

「はい。すべては始まりました。あなたはもう、自分のゆくべき道、やるべきこと、すべてを知っている。自己存在の真実のスイッチが入れば、あなたは動き出す。あなたはもう、永遠に幸福です」

はい。

「では、いきなさい。すべてを自分でやり、果たすべき使命を果たしてきなさい」

はい。


 ***

以上は、見えない人間を解脱に導くときの、基本的な流れです。生きている人にも、使えますが、効き目は低いです。これは、これを読んでくださっている方のところにいる、見えない人間に、教えるために、書きました。あなたがこれを読めば、見えない人間もこれを読みます。そして、時期がきている人間は、解脱に至り、あなたから離れていきます。

試してみてください。感覚の鋭い人は、見えない人間と一緒に、何かの感動を味わうかもしれません。



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする