リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

通訳

2006年08月29日 16時42分50秒 | 音楽系
昨日は、ミューズでイタリア人ギタリスト、ステファーノ・グロンドーナのマスタークラスの通訳をしました。そこそこ英語が出来て、ギター系の専門知識もある人と言うことでご指名をいただき、大変に光栄に思っております。(単にこき使われているだけなのかも(笑))

4月のホピーのマスタークラスのときも通訳をしましたが、この場合はいつもよく話をしたりレッスンをしたりしてどういう考えの人なのかとか、どういうことを言いそうなのかとうのはおおよそ見当がついていましたので、やりやすかったです。今回はあったことのなかった人で、しかも私にとって今となっては専門外のギターです。どういう考えを持った方なのかを知っておくために、前日に行われたコンサートの打ち上げに出て少しお話をしました。大体それで人柄とか方向性みたいなのは理解できたのですが、実際のレッスンはどういう展開をしていくのかは未知数。一人目のレッスンの時は、ちょっと構えて緊張していました。二人目の人のレッスンが終わる頃には大体どういうレッスンの展開をされる方なのかがおおよそつかめるようになり、それなりにスムーズに進めることができるようになってきました。

しかし通訳ってホントに疲れるもんですね。6人の通訳ですから時間にして6時間ちょっとの間、英語と日本語の間を行ったり来たりです。英語モードに入りっぱなしならそれなりに楽なんですけど、行ったり来たりはなんかいつもモードを切り替えなくてはならず、妙な疲れ感覚が残ってしまいます。

ステファーノはイタリア人なので、少しイタリア語のなまりの英語をしゃべります。とても流暢だが文法的に間違ったまま次から次へとしゃべるという、ヨーロッパの人によくありがちなタイプではなく、一安心。そういう人って、大体発音はより非英語的になるもんですからホントに聞きにくく苦手なんですよ。そうそう、実は日本人で発音がくずれながらも流暢にしゃべる人の英語もわかりにくいので大の苦手なんです。

彼の英語でどうもちょっと英語の意味の範囲をちょっと超えたような使い方の語が少しありまして、それはそれで興味深かったです。一つはinterestingということば。演奏が「いい」とか「聴かせる演奏」とか「上手な演奏」というときに彼はかなりinterestingといっていました。(実際の発音はinterestinguって感じでしたけどね。(笑))こういうときって、fantastic,excellent, profound, attractive, fascinatingあたりを使うのが普通のような気がします。ホピーは、exquisiteってことばを好んで使っていました。いい演奏だというときにホピーはinterestingということばを使ったのは一度もなかったです。

あとcasualということばも、あまり考えずに弦をはじいていたときに、「君の右手がcasualだ」って感じで使っていました。先のinterestingもcasualも感覚的にはよくわかるので、通訳するのにはそんなに困りませんでした。それに受講生の手をこちらも見ていますので、別に彼がどんなことばを使っても、その状態にどういう問題があるのか、見当がつきますから。イタリア語のcasualにあたる言葉はもっと意味が広いのかもしれません。

あと、一つだけ不明の言葉がありまして、家に帰ってから辞書で調べても載っていませんでした。ipnosis(ipnosys?)ってことばなんですが、刻一刻静寂に繰り返される、というような意味合いだというのはレッスン内容からは理解できたんですが、それじゃostinatoみたいなものかって彼に聞いたらそれはちょっと違うっておっしゃる。この言葉ってラテン語かなんかなんでしょうかね。どなたかご存じじゃないですか?