リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ドゥルチェ・メロス

2009年02月03日 12時25分42秒 | 音楽系
ドゥルチェ・メロス(dulce melos)という楽器をご存知でしょうか。ピアノみたいに貼ってある弦をバチで直接たたいて演奏する楽器で、いろんな呼び名やタイプがあります。英語ではダルシマー、ハンガリー語でツィムバロム、ドイツ語ではハックブレット、中国に渡ったタイプだと楊琴と呼ばれているそうです。

dulce melosというのはラテン語で、ヨーロッパの音楽では中世の音楽によく使われます。この楽器名を冠したグループがバーゼルにありまして、昨年ナクソスから「ロハムの歌の本」(Das Lochamer Liederbuch Naxos8.557803)というCDを出しました。私がバーゼルに行った頃(2003年)に結成されたグループで、中世リュートやギターンを担当するマルク・レオンが主宰していて(多分そんな感じがしました。(笑))日本人リコーダー奏者の矢板由希子さんも参加しています。

彼らは中世アンサンブルのクラスでご一緒させていただいた人たちで、とても懐かしい面々です。ドイツ人のマルクはなかなか語学力があって、ロバート・ダウランドのリュート曲集、A virietie of lute lessonsの解説文を「普通に読める英語」になおしてもらって助けてもらったことがありました。ヨーロッパのネイティブの語学力がある人はやっぱり違うなぁと感心したもんでした。

矢板さんには、ホピーの通奏低音のレッスンの相方を何回か務めてもらいました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。ま、このブログを読んで頂いているかどうかはわかりませんが。

中世音楽アンサンブル、Dulce Melosがナクソスから出したCD、gooショッピングのサイトでは次のようなウリ文句がならんでいました。

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ロハムの歌の本 1450年代に編纂された、ドイツの最初の歌の本と言われるこの曲集。散逸した曲や、未発見の曲も多く、未だ全貌が明らかになっているわけではありませんが、歌と楽器のために書かれた最初期の曲集として貴重なものです。単旋律の歌に絡み合う素朴な楽器の調べを聴くと、当時の人々の暮らしや思いを伺い知ることができるでしょう。・・・
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中世の音楽の演奏というと、どっかの民族音楽を引っ張り出してきてジャンジャンやって中世でございというような結構適当なものが多い中、彼らの演奏はきちんと学術的な研究が下敷きになっています。中世音楽を知ってみたいという方にお薦め。