リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック音楽の名曲

2009年02月14日 16時22分27秒 | 音楽系
久しぶりに近所の本屋さんにいましたら、おもしろい本がありました。ナツメ社から出ている「図解雑学バロック音楽の名曲」です。これはシリーズで出ていまして、「日蓮」「元素」「失敗学」といった人文科学、自然科学、社会科学を網羅する入門書です。でもこういうタイプの本は往々にして書いてあることが古かったり、きちんとしていないことが多いんじゃない?という偏見の目で見てしまいがちで、立ち見さえしないことが多いです。

でも皆川達夫監修とありましたから、本を手に取ってパラパラっとページをめくってみました。すると意外や意外(失礼)なかなか記述がしっかりしているし、リュートやテオルボのこともきちんと書いてあります。名曲の解説では、ヴァイスのト短調のブレが入っています。ヴァイスの偉大さを正当に評価した選曲です。やっとそういう時代が来たのか!としばし感慨にふけってしまう内容でした。(笑)

この本の執筆は宮崎晴代さんという音楽学の専門の方が書かれましたが、大変平易な書き方ですが内容的には正確で要を得ています。バロック音楽を概観する読み物として非常にオススメです。リュートのことが書かれているからオススメというんじゃなく、他のこともきちんと書かれています。平明ながら安易に堕することがない書き方が大変好感を持ちます。

さらにCDが2枚も付いていてお値段は1600円という廉価。逆にここまでしっかりした内容なんだから、もう少し表紙を格調高いものにしても良さそうですが、そうなると敷居が高いって感じになってしまうかも。これはこれでいいんですね。

CDの音源は基本的にはナクソスがベースになっているように見受けました。リュートソロはロバート・バルトでした。