ト短調の曲なのになぜイ短調の指使いがしっくりくるのか?リュートの弦はガット製で、細い1コースは当時でも4週間もてば特筆されるくらいでした。(E.G.バロンの著書による)まぁ平均的には2週間くらいで交換と言ったところでしょうか。場合によっては2,3日でということもあったかも知れません。
こういった現状がありましたから、一音下げてより太い弦を張り、ハ短調調弦にするというのはすぐ考えつくことでしょう。特にソロ中心に演奏している人であれば問題は出てきませんし、アンサンブルをよくする人でもハ短調調弦として五線譜を読む練習をすれば演奏可能です。ただ「ハ短調調弦」バロック・リュートは♭系の調には強いですが、♯系はちょっとという感じになりますが。
バッハのリュート組曲ト短調BWV995はこういった楽器のために作曲されたのではないでしょうか。指的にはイ短調の指使いになりますが、それはト短調に聞こえる、したがって五線譜ではト短調で書いた、ということです。今回のリサイタルではこの仮説に基づいた版を起こしそれを使用しますが、楽器は415なので響きはイ短調で鳴っています。イ短調にするとバッハが書いた音全てをそのまま演奏することができます。ト短調版だと出すことができないバスがあったり、非常に不自然な形でしか出せない和音があったりします。原調でしかも指定された楽器で演奏しているというのにこれは明らかに変ですね。(何度となく出てくるコントラGとかプレリュードの115小節目冒頭のバス、アルマンドの25小節目冒頭の和音などです。これらはイ短調版では全て「あっさり」と弾けてしまいます)
この仮説がなんとなく存在しづらかったのは、実は18世紀の中頃に成立した995番のタブラチュアがあるからなのかも知れません。これはバイロイトのA.ファルケンハーゲンがタブラチュアにしたと言われています。このタブはト短調で書かれていて楽器は13コースの楽器です。ですからコントラGは何のためらいもなく捨てられています。ま、実際には思い悩んだ末かも知れませんが。(笑)このタブラチュアは音の省略、変更が多すぎ、あまり原曲に忠実であるとは言えないと思います。歴史的な意義は大きいでしょうが。
ただイ短調版の泣き所は、先にもいいましたが、属調に転調したときの和音ですね。大変押弦が難しいですが、でもバレを工夫して指使いを考えれば、(もちろんよく練習しないといけませんが)ギリギリ実用的な範囲ではあります。
こういった現状がありましたから、一音下げてより太い弦を張り、ハ短調調弦にするというのはすぐ考えつくことでしょう。特にソロ中心に演奏している人であれば問題は出てきませんし、アンサンブルをよくする人でもハ短調調弦として五線譜を読む練習をすれば演奏可能です。ただ「ハ短調調弦」バロック・リュートは♭系の調には強いですが、♯系はちょっとという感じになりますが。
バッハのリュート組曲ト短調BWV995はこういった楽器のために作曲されたのではないでしょうか。指的にはイ短調の指使いになりますが、それはト短調に聞こえる、したがって五線譜ではト短調で書いた、ということです。今回のリサイタルではこの仮説に基づいた版を起こしそれを使用しますが、楽器は415なので響きはイ短調で鳴っています。イ短調にするとバッハが書いた音全てをそのまま演奏することができます。ト短調版だと出すことができないバスがあったり、非常に不自然な形でしか出せない和音があったりします。原調でしかも指定された楽器で演奏しているというのにこれは明らかに変ですね。(何度となく出てくるコントラGとかプレリュードの115小節目冒頭のバス、アルマンドの25小節目冒頭の和音などです。これらはイ短調版では全て「あっさり」と弾けてしまいます)
この仮説がなんとなく存在しづらかったのは、実は18世紀の中頃に成立した995番のタブラチュアがあるからなのかも知れません。これはバイロイトのA.ファルケンハーゲンがタブラチュアにしたと言われています。このタブはト短調で書かれていて楽器は13コースの楽器です。ですからコントラGは何のためらいもなく捨てられています。ま、実際には思い悩んだ末かも知れませんが。(笑)このタブラチュアは音の省略、変更が多すぎ、あまり原曲に忠実であるとは言えないと思います。歴史的な意義は大きいでしょうが。
ただイ短調版の泣き所は、先にもいいましたが、属調に転調したときの和音ですね。大変押弦が難しいですが、でもバレを工夫して指使いを考えれば、(もちろんよく練習しないといけませんが)ギリギリ実用的な範囲ではあります。