リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ローデドナイルガット

2017年05月22日 22時31分47秒 | 音楽系
昨年の11月に注文しましたアキーラ社のローデドナイルガット弦がやっと届きました。製品の歩留まりが悪いので出荷できないのかも知れないと案じておりましたが、販売サイトでは現在は在庫があってすぐ出荷出来るようです。

この弦はリュートのミッドレンジおよびバスレンジに特化した弦ということで、0.75ミリが一番細い弦です。ということは4コース以下は使えるということになります。注文したのは5コース以下の分です。弦のパッケージを開けてみますと、とても柔らかい素材でできていることがわかりました。これってひょっとして今までのナイルガット弦とは全く異なる素材なのかも知れません。柔らかいということはよく延びるということでもあり、実際に手で引っ張ってみますと結構延びます。

実際に自分の楽器に張ってみました。13~6コースのバスと5コースに張りました。3コースの赤い弦はガット弦です。



こちらは参考までにカーボン弦を張った状態です。



質量がカーボン(1.77)より高いと謳っているいるだけに結構細いです。ガット相当直径2.00ミリという弦で実寸は1.60ミリくらいしかありません。音はとてもクリアですが、金属巻き線みたいなギンギンした感じは全くありません。カーボン弦より輪郭がはっきりしたバス音が得られます。音の減衰はオクターブ弦とほぼ同じくらいです。巻き線だとオクターブ弦の3倍以上、カーボン弦だと同弦の半分以下ですから、とてもバランスがいい弦です。

いいことばかりで理想のバス弦のように思えますが、まだわからないのは、安定性と温度に対する感受性です。素材が弦としては異例に柔らかいのでこの点が少し心配です。これは今の段階ではよくわかりません。しばらく弾かないとわかりませんが、この点さえクリアできたら、カーボンからこちらに替えようかと思っています。