リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

場数

2024年12月01日 11時51分50秒 | 音楽系

昔「芸術は場数だ!」言っていた美術家がいました。舞台芸術は場数を踏まないといけないという意味のようで、いいことを言うなぁと思っていました。実際は場数ではなく「爆発」と言っていたらしいですが。

人前で演奏するときは個人差はあるものの誰でも緊張します。それこそ沢山の場数を踏んでいるはずの某ヴァイオリン演奏家や某漫才師なんか今でもとてもビビリであることが知られています。もっとも中には舞台袖で直前まで談笑していてさっとステージに出て一瞬にしてスイッチが入り演技が出来るという役者さんもいらっしゃるようですが。

プロであっても基本的に生来のビビリは解消とか克服できるものではなく、場数を重ねるにつれて共存していけるようになるということなんでしょう。アマチュアの人が発表会などの本番であがって困るので何とかして克服したいというのはよく聞く話です。どこかの音楽教室ではアガリ克服講座なんかを催しているみたいですが、それは全くの無駄、無理です。

そもそも克服しようと考えるから余計あがるのです。まずはステージに上がるまでに沢山練習を積むことです。家ではいつも120%いや150%確実にできるくらい練習するべきです。曲目の選択も重要です。プロが弾くような曲を発表会用に選んではいけません。そういう曲が人前で弾けて拍手喝采を受けたいという気持ちはわかりますが。ふつう本番では家で練習しているときの60%もできれば合格です。家で150%まで仕上げていれば本番では90%ですから大成功、素晴らしいできのはずです。

中には少し困った人がいて、リュートというのはそもそも歴史的に見て人前で弾く楽器ではない、というような屁理屈を作って合理化し閉じこもってまい、さらにそれを正当化するための論陣?を張る人がたまにいます。そこまでも言わないにしてもトシだといろいろ理屈をつけて人前で弾かない人もいます。

まぁグダグダ言わないで思い切って飛び込んでみましょう!そのうちきっと新しい世界が広がりますよ。芸術はバカズです。