(高千穂町の夜神楽。高千穂町のHPより引用。)
二日目はニニギが天下ったとされる高千穂町へ。アマテラスがこもった天岩戸が残っていますが、天岩戸といわれる遺跡は各地にあります。年末年始のことで資料館が休みだったので、神話にまつわる遺跡や遺物が本当にあるのか確認できませんでした。(資料館には矢じりなどが陳列されているそうですが、矢じりは日本各地で出土しますし。)
この地の重要無形文化財として夜神楽があります。神楽もとりたてて珍しいものではありません。私が幼いころには東京の末社でも神楽をやっていました。
神楽は巫女が神に奏する舞です。じつは能にも曲によって神楽がでてきます。シテが神楽を舞っているうちに次第に神がかりになってくるという筋立てです。巫女(シテ)は幣をもって舞いますが、神そのものになってもまだ幣をもっているのはおかしいと、元東京芸大教授の横道萬里雄氏は指摘しています。(だからか、幣の代わりに扇をもつ流派もあるそうです。)
能の中で神楽舞にはいると囃子が変わり、笛の音が揺れ、小鼓が低音を打ち続けるようになります。この囃子は、神社の神楽の囃子とはぜんぜん違う音楽です。能の神楽の囃子は巫女の鳴り物を模しています。(正直なところ能の神楽に比べて、夜神楽は洗練されていません。)
要するに、高千穂旅行はまったく詰まらないものでした。ただ一点、泊まった「神仙」という旅館が、建築も料理も仲居もきわめて良質で、東京や京都の名のある料亭のようだったことが救いでありました。
※今日、気にとまった短歌
今朝もまた鼻くつつけておはやうと言へばひんやり遺影の吾子よ (小田原市)陌間みどり