院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

医者と経験年数

2015-01-15 06:21:08 | 医療
   (飢餓陣営せれくしょん。)

 尊敬するW院長(故人)が卒後3年目のころに、自分の患者さんについて精神鑑定をして裁判所に呼ばれたことがあるそうです。鑑定結果は統合失調症。

 相手側の鑑定人は当時の犯罪心理学の権威T教授だったそうです。その鑑定結果は詐病(仮病)で、裁判所で決着をつけることになりました。

 相手側の弁護士は若き院長に「あなたは医者になって何年目ですか?」とわざと尋ねました。院長はありのままに答えました。

 裁判の結果は、患者は詐病で有罪となったそうです。この事実を院長は、人生でもっとも悔しかった経験として私に語りました。(10年後くらいに、やはり統合失調症だったことが明らかになりました。)

 私は医者(なかんづく精神科医)は3年目くらいが一番冴えていると考えています。とくに精神療法は3年目くらいが一番うまい。体力精神力もあり、全身全霊で患者さんにぶつかっていけるからでしょう。


※今日、気にとまった短歌

  「山の美しさに感動して詠める」
  ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふ くましかりこす 山下洋輔