(「がめつい奴」平成22年公演のポスター。いちかわ市民文化ネットより引用。)
菊田一夫脚本の「がめつい奴」は芸術座で1959年から10か月のロングランを成し遂げ、「がめつい」を標準語にしてしまった演劇です。「・・奴」も流行らせました。前回の「どてらい男(やつ)」、柴田練三郎の「図々しい奴」が続きました。
私はこの舞台をテレビ中継で見た覚えがあるのです。ロングランのときに私は10歳ですから、ほんとに見たのは1964年にテレビドラマ化された作品かとも考えました。しかし、画面は確かに舞台セットでしたし、なにより5年もたつと名子役といわれた中山千夏さんが大きくなってしまうでしょう?
小2のとき東横ホールで見た「乞食王子」以来、舞台演劇で2度目に超面白いと思った作品です。
大学生になってから「前進座」とか労組系の「名演」というの見たのですが、つまらなさ過ぎて私の演劇経験はそこで終わってしまいました。
(のちに山本夏彦翁による、「新劇」のファンはいつも同じ一部の者で、役者もファンも同時に老いていったとの指摘に、なるほどと思ったのでした。)
※今日、気にとまった短歌
校門の女生徒ふたり筒を持ち右と左に分かれて行きぬ (名古屋市)中治正行
本当にそのシーンだけがワンカットで記憶されているのでかなり幼いころの記憶だと思います。
幼少期の記憶にはこのように浮き島化したものが多いようです。それほど感激を伴った記憶ではないものも少なくありません。なぜそのシーンだけが強烈に残るのでしょうか?
僕も梅干の壺を覚えています。それとお札を燃やしてしまって、お鹿婆さんが大慌てするシーンも。
凄い人気のため劇場中継は3放送局がやったそうです。僕が見たのはそれの再放送でしょうか?というのは、とても面白いと思ったからです。10歳ではまだ面白いと感じないのではないかと思うからです。
中山千夏さんはその後、山嶺先生らと左派の政治活動をしていましたね。