標題は薬剤の名称である。デパスが精神安定剤、マイスリーが睡眠導入剤である。そして、この両剤は内科の先生がもっとも好んで使用する薬だ。
精神安定剤も睡眠導入剤もおのおの10種類以上ある。そのなかで、内科では多くはこれらの薬が「選択的に」使用される。なぜか?
内科の先生はこの両剤をもっとも安全だと考えているからである。自分が専門でない薬を使うのは怖い。だから、安全と考えられる薬を使用するのが人情だし、それが正しくもある。
内科の先生がなぜこれらを安全と考えるか想像してみると、デパスには処方制限期間がない。ほかの精神安定剤は30日という処方制限がある。中にはけっこうクセのある薬や副作用が強い薬がある。
マイスリーは統合失調症や躁うつ病には健康保険が効かない。その点が、本剤を内科の先生が好む理由だろう。統合失調症や躁うつ病に睡眠障害は必発である。それなのに本剤を使えないのは私たちとしてみれば残念である。
でも内科の先生にとっては、統合失調症や躁うつ病に使えないということはメリットである。患者に「あなたは精神の病ではありませんよ」というメッセージになるからである。
我々、専門の心療内科医、精神科医には、今度は内科の先生が普通に使っているステロイドや抗生物質が怖くて使えない。自分の領域外の薬剤については極めて慎重になるのが医者の性である。これはよいことである。
ところが実のところ、精神安定剤の総使用量は、心療内科、精神科よりも、内科のほうが多いのである。患者数の圧倒的な差からこのような数字になるのだが、この事実は私にとっても非常に意外だった。
※2013-10-05付記
これまでデパスには依存性がないことになっていた。それが内科医がデパスを好む大きな理由の一つだった。デパスも他の安定剤や睡眠薬と類似の構造式なのに何故だろうと思っていた。ところが最近、デパスにも依存性があると製造している会社が言い出した。この情報に接した内科医は、今後どのような薬剤選択を行うだろうか?
精神安定剤も睡眠導入剤もおのおの10種類以上ある。そのなかで、内科では多くはこれらの薬が「選択的に」使用される。なぜか?
内科の先生はこの両剤をもっとも安全だと考えているからである。自分が専門でない薬を使うのは怖い。だから、安全と考えられる薬を使用するのが人情だし、それが正しくもある。
内科の先生がなぜこれらを安全と考えるか想像してみると、デパスには処方制限期間がない。ほかの精神安定剤は30日という処方制限がある。中にはけっこうクセのある薬や副作用が強い薬がある。
マイスリーは統合失調症や躁うつ病には健康保険が効かない。その点が、本剤を内科の先生が好む理由だろう。統合失調症や躁うつ病に睡眠障害は必発である。それなのに本剤を使えないのは私たちとしてみれば残念である。
でも内科の先生にとっては、統合失調症や躁うつ病に使えないということはメリットである。患者に「あなたは精神の病ではありませんよ」というメッセージになるからである。
我々、専門の心療内科医、精神科医には、今度は内科の先生が普通に使っているステロイドや抗生物質が怖くて使えない。自分の領域外の薬剤については極めて慎重になるのが医者の性である。これはよいことである。
ところが実のところ、精神安定剤の総使用量は、心療内科、精神科よりも、内科のほうが多いのである。患者数の圧倒的な差からこのような数字になるのだが、この事実は私にとっても非常に意外だった。
※2013-10-05付記
これまでデパスには依存性がないことになっていた。それが内科医がデパスを好む大きな理由の一つだった。デパスも他の安定剤や睡眠薬と類似の構造式なのに何故だろうと思っていた。ところが最近、デパスにも依存性があると製造している会社が言い出した。この情報に接した内科医は、今後どのような薬剤選択を行うだろうか?
始めてコメントさせていただきます。
母デパス
私ホリゾン
お友達
認知症の母、薬大好きでした。 私は時々の安定剤です。 何だか漠然と不安、そんな時飲みます「飲んだから大丈夫」暗示ですね。
人には保険がきかないというのは
初めて知りました。
若い時から不眠傾向があり、高血圧の治療で通っていた内科の開業医では、ハルシオンを
出してくれて何年も服用していました。
ところが、13年前に乳がんがみつかり、
日赤病院に入院したのです。
そこの精神科の医師に、ハルシオンはダメと言われて別な薬に変えてくれました。
ところが、知り合いは市立総合病院の内科から30年近くたつ今も、ハルシオンを
もらっているそうです。
内科で簡単に出してくれるのはどうなのかなと思っています。
すみません、マイスリーからそれました。
しかくさんかくさん、こんばんは。
薬というものには、いろんな風評がつきまといます。
科学的でない(きちんと調査されたわけではない)評価が定まったりします。
また、時間の経過とともに、評価が変わります。
その変化さえ、まともな変化と流行的な変化がごちゃまぜになります。
ハルシオンに関して言えば、13年前というと、まだハルシオン悪玉説が残っていたころですね。
なにが悪玉かというと、新宿の不良たちの間でハルシオンが「睡眠薬遊び」の材料となっていたからです。
1個10円くらいのハルシオンが、1個何千円で売買されていた時代があるのです。
ハルシオンは極めて寝覚めが良く気持ちがいいんです。
ということは、依存性が高くなります。
それで精神科医はハルシオンの使用をやめました。
じゃあ、内科の先生が遅れているかというと、これは趣味の問題(自分が手馴れているか)となります。
というのは、薬物天国アメリカでベンゾジアゼピン系の薬が持ち込みダメになったからです。
(アメリカの薬物汚染はひどいものらしく、ワケのわからない薬物が蔓延しています。由来のはっきりしているベンゾジアゼピン系を持ち込み禁止にしても、何の役にも立たないと思うのですがね)。
わが国で使用されている精神安定剤セルシンや睡眠薬のほとんどがベンゾジアゼピン系です。ハルシオンもです。
ドイツもアメリカに追随しそうです。
でも、この50年間にベンゾジアゼピン系の果たした役割は計り知れません。
(1)「睡眠薬自殺」ができなくなった。
(2)高血圧の薬ベータブロッカーが見つかるまで、高血圧の第一選択薬はセルシンだった。
それらをまだ使い続けている日本は遅れていると言うわけには本当はいかないのですが、どうも世論がそちら方向へ動いていきそうな予感がします。
(アメリカは薬は自分で買えるようです。日本では睡眠薬や安定剤は医師の処方がないと買えないという違いは無視されるでしょう)。
疑り深い僕としては、新しいタイプの睡眠薬を売りたい製薬会社が(ベンゾジアゼピン系ではもう儲からないので)策謀をしているのではないか、と考えたりします。
スモン病という薬害事件をご存じですか?
たいへんよく効く下痢の薬が元凶とされました。
その薬は実はまだアフリカでは使用されているのです。でも、アフリカでスモン病が発生したという話は聞きません。
では、日本のスモン病はなんだったのか?という疑問に立ち返ります。
スモン病はマスコミとそれに踊らされた別の病気の患者だったのではないか、という疑念を僕は持ち続けています。
科学に多数決は通用しないという真実を、われわれはしばしば忘れそうになります。