未開人の数え方は「１・２・３、あとはたくさん」

　文明人は未開人の数え方を「１・２・３、あとはたくさん」で済ませてしまうと嗤うが、なに文明人だって千万億万の単位になったらわからないと故山本夏彦翁は言っていました。

　たとえば、恐竜が絶滅したのが６千５００万年前、人類がアフリカから世界中に散ったのが７万５０００年前。どのくらい違うのかぱっとわかりますか？そこで私は、金額で表すことをお薦めします。

　恐竜の絶滅は６千５００万円。マンションが買えますね。人類の出アフリカが７万５０００円。これではマンションどころか安アパートの家賃です。

　他のものもハコモノの金額で表すと、もっとイメージできるようになります。東京スカイツリーが総工費６４０億円。丸ビルが総工費７５０億円です。

　　　
（東京スカイツリーと丸ビル。）

　たとえば、インドに対するＯＤＡ（政府開発援助）は無償部分のこれまでの累計が９００億円です。人口１２億の国に丸ビル一棟より少し多い分だけしか差し上げていないのですね。もっとたくさん援助していると思いましたが、それらは有償援助であとで返してもらうお金です。その分は無償部分の１０倍以上あります。

　日本はイージス艦を６隻もっていてますが、やはり軍の装備は高いですね。一隻２，０００億円といわれています。一隻で東京スカイツリーが３本建つ金額です。


（イージス艦。）

　戦闘機が一機、１００億～２００億円。それに較べて、ホンダジェットは５億円。ケタが大きく違うことがわかります。


（ホンダジェット。この項目の写真はすべてウィキペディアより引用。）

　わが国の国家予算が９５兆円。韓国のそれが２１兆円です。これらは、そんなに高くはないのですよ。というのは、わが国の医療費はとっくに３０兆円を超えています。ところが、娯楽産業で動くお金はもっとずっと多く、パチンコスロット業界だけ抽出しても医療費と同じ３０兆円が動いています。

　大きい数は文明人にも直感的にわからないのです。だから、未開人は「１・２・３、あとはたくさん」だと侮ってはいけません。私たちも同じです。


※今日、気にとまった短歌

　　話したい触れたい見たい隣にいたい消極的はもうやめにする　（東京都）添川日向子