申し訳ありません。今回、とてもダメなコラムです。
いろいろとご指摘願えると幸いです。すみません。
:「レッドクリフ PartⅡ~未来への最終決戦~」ジョン・ウー監督 2009年4月
――眉間のシワ映画
やれやれと背もたれのふかふかした椅子に座り込んでふと見ると、隣の50代前半と思われる男が文庫本を、映画館の薄明かりで読んでいた。自然とわたしの目は文字を辿る。「……○○子は、唇を薄く開いてあえいだ。『ああ、あなた…』」官能小説だった。おい。
幸いにして痴漢にあうこともなく、二時間半の「レッドクリフ PartⅡ~未来への最終決戦~」はつつがなく終わった。これで、昨年の「PartⅠ」とあわせ完結したこととなる。ジョン・ウー監督の二部作「レッドクリフ(原題:赤壁)」は、「三国志」の周瑜を主人公にした物語である。とはいえ、歴史ドキュメントの映画ですとも言いづらく、あえて言うなら「三国志」風味のアクション映画、といったほうが良いのかも知れない。
とにかく全てが未消化の映画だ。「PartⅠ」で描かれるこまごまとした仕草の数々を「PartⅡ」でも重ねながら突然、という勢いで始まる戦いは、CGも含めて観るものを置いてきぼりにしてしまい、流れが悪い。元々主人公周瑜を演じるはずのチョウ・ユンファが降りてしまい、からだの調子が良くないトニー・レオンは、激しい剣舞や剣劇を頑張っているけれどもいかんせん全体を通してみると意外なほどに出番が少なく、また周瑜側で取り上げられる人物が多すぎて、場面が次々変わり集中しづらいのだ。
一方でチャン・フォンイー演じるラスボス曹操は、通してカメラが固定されているため、キャラクターが掴みやすく、わかりやすい。ラストシーン、髷を射抜かれた曹操の、ほどけた髪で向き直る顔のアップは白髪と合わせて、漫画「蒼天航路」の曹操のカットと瓜二つでずるっと身体がすべったついでに隣のおやじと肘が触れた。ぞくっとして前を見るとひたすら死体を踏み越え戦場から去る曹操。どう見てもバッドエンドの主人公である。おい、周瑜の映画じゃなかったのかこれ。あ、テーマ「反戦」。あ、そう。なら曹操側の映像にショック受けさせるのが狙いなわけか。な、る、ほ、ど……?(803文字)
いろいろとご指摘願えると幸いです。すみません。
:「レッドクリフ PartⅡ~未来への最終決戦~」ジョン・ウー監督 2009年4月
――眉間のシワ映画
やれやれと背もたれのふかふかした椅子に座り込んでふと見ると、隣の50代前半と思われる男が文庫本を、映画館の薄明かりで読んでいた。自然とわたしの目は文字を辿る。「……○○子は、唇を薄く開いてあえいだ。『ああ、あなた…』」官能小説だった。おい。
幸いにして痴漢にあうこともなく、二時間半の「レッドクリフ PartⅡ~未来への最終決戦~」はつつがなく終わった。これで、昨年の「PartⅠ」とあわせ完結したこととなる。ジョン・ウー監督の二部作「レッドクリフ(原題:赤壁)」は、「三国志」の周瑜を主人公にした物語である。とはいえ、歴史ドキュメントの映画ですとも言いづらく、あえて言うなら「三国志」風味のアクション映画、といったほうが良いのかも知れない。
とにかく全てが未消化の映画だ。「PartⅠ」で描かれるこまごまとした仕草の数々を「PartⅡ」でも重ねながら突然、という勢いで始まる戦いは、CGも含めて観るものを置いてきぼりにしてしまい、流れが悪い。元々主人公周瑜を演じるはずのチョウ・ユンファが降りてしまい、からだの調子が良くないトニー・レオンは、激しい剣舞や剣劇を頑張っているけれどもいかんせん全体を通してみると意外なほどに出番が少なく、また周瑜側で取り上げられる人物が多すぎて、場面が次々変わり集中しづらいのだ。
一方でチャン・フォンイー演じるラスボス曹操は、通してカメラが固定されているため、キャラクターが掴みやすく、わかりやすい。ラストシーン、髷を射抜かれた曹操の、ほどけた髪で向き直る顔のアップは白髪と合わせて、漫画「蒼天航路」の曹操のカットと瓜二つでずるっと身体がすべったついでに隣のおやじと肘が触れた。ぞくっとして前を見るとひたすら死体を踏み越え戦場から去る曹操。どう見てもバッドエンドの主人公である。おい、周瑜の映画じゃなかったのかこれ。あ、テーマ「反戦」。あ、そう。なら曹操側の映像にショック受けさせるのが狙いなわけか。な、る、ほ、ど……?(803文字)