えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

祭りの初日:肩越しの出会い

2010年02月23日 | 雑記
ふっふっふ。早速やってしまった。
23日の24時に帰宅してしまったのだよ。だいじょうぶ、まだ間に合うぜ。
でも言ったからにはやります。

昨日から(そうです、ゲネプロで昨日は公演があったのです!!!)はじまりました、
「上海バンスキング」復活公演。
渋谷のシアターコクーンは帰ってきたメンバーとお客、そして新しいお客を
つつんでジャズに暮れたようです。

間16年。こどもが育つ16年と、おとなの過ごす16年は、速度も密度も全然ちがう
もので、しかも16年だと「まだ」16年、少なくみえますがどうしてどうして、
気づくと身体に降りつもる年月の思いもよらなかった重さに愕然とします。
そこから7年進んだ9年前ほどになるでしょうか。叔父の運転する車の助手席に
もたれかかりどこかの高速道を突っ走っていた時、風の音に混じった小さなさざめきが
耳をとらえました。

あまりにも小さくて、CDから出てきた音だと思えず、トラックを巻き戻しても
最初の数秒はやっぱり誰かがさざめいている。笑っている。つまみを左にひねって
音量を上げると拍手と口笛がスピーカーから現れました。息を合わせて一拍。

CD「上海バンスキング」の冒頭、「ウェルカム上海」はこうして始まります。
人間らしいあたたかなゆがみと楽しげな楽器の息づかいがわっと飛び出しました。
あわてて右につまみをひねり、ほどよく車中に響くよう加減します。続けて現れた
女性の声音の、余裕たっぷりな暖かみ、成熟したからだのやわらかそうな、艶と
可愛げを兼ね備えて誰にも媚びることのない明るさ。
若き吉田日出子の歌に以来ずっと抱かれながら過ごした時間が今に至っています。


晩、渋谷で降りて食事をしていると、黒いベルベットを着たおとなっぽい森三中に
近い女性が、品のよいばら色の口紅を動かしながら、テーブルの一つ二つ向かいに
坐っていました。平行に置かれたパンフレットの表紙はきりっとしたカーマイン、
ふと持ち上げたそこに、サックスを首からかけた男性と、すみれ色のドレープを
たっぷりとったドレスの女の人がいました。
ことばこそ聞こえませんでしたが、さらにニア森山中が手を掲げると
「上海バンスキング」の文字。

私はにやっとしていたと思います。
コメント
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