行動範囲がめっきり狭められた生活の中でコンビニの棚の新商品に浅ましくも目ざとくなり、「台湾カステラ」の文字が目に入ったのでかごに入れた。ホイップクリームを卵色の生地でサンドイッチした冷蔵のお菓子だった。帰宅してパッケージを開ける。持ち上げようとすると思っていた以上に生地が柔らかく、味こそカステラに似ていたが舌触りは密度の高いシフォンケーキのようで、控えめな甘さのホイップクリームとよく合っていた。しばらくしたある日、帰りに立ち寄ったスーパーにはヤマザキの「台湾カステラ」が売られていたのでこれもなんとはなしに買った。「湯煎焼き」という製法で作られているらしい。蒸し焼きとオーブンの焼き加減のいいとこどりで外はきつね色に、中は卵色に焼けるらしい。ヤマザキの「台湾カステラ」はセブンイレブンのものよりも断面がなめらかで、食感は人気商品の「チーズ蒸しケーキ」に似ている。
新しい食べ物が生活へ唐突に現れてくれることは有り難い。ゆっくりと自分の人間が麻痺していくような日々に、舌先だけでも新鮮な刺激を得る実感がその日の来る時を伸ばしていく。私の生活の中にやってきた「台湾カステラ」の、包丁を入れると震える舌触りは夢の中にまでほのかな甘みを広げてやまない。
新しい食べ物が生活へ唐突に現れてくれることは有り難い。ゆっくりと自分の人間が麻痺していくような日々に、舌先だけでも新鮮な刺激を得る実感がその日の来る時を伸ばしていく。私の生活の中にやってきた「台湾カステラ」の、包丁を入れると震える舌触りは夢の中にまでほのかな甘みを広げてやまない。
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