頭に煙がかかったかのようにぼんやりと、外を眺めるでもなく椅子にへたり込むように沈みきっていた。それが一週間も続いているとスマートフォンにも依存する。ちかちか光る明かりに目がくらむ。目がくらんで刺激を受けている間は自分が何かしているのだという錯覚に陥ることが出来る。時計の短針が何周も回って次の朝のために眠らなければならない時間が訪れる。それを繰り返すのは贅沢だ。短針を確認するまでもなく義務で過ごさなければならないと言いつつ部屋の隅に縮こまって毎日を凍えて過ごしている。指がかじかむ。足がつる。腱がひきつる。足下に水が迫るように年の瀬が来る。子供の頃から歳を重ねる月が来るごとに足下を何かに引っ張られて何かにくるまれるような感覚を覚えていた。歳月が被さるたびに私は自分が見えなくなる。自分が歳月に覆われて発酵し、歳月の重みを介さない人の前に曝け出されると剥がれるものが化けの皮、歳月が隠してくれていた矮人は日の光の下では笑いものとして生きていくしかない。延々と自分が笑われているという幻影に囚われながら誰も自分を見ていないという事実には気づかない。己に向かう目だけが肥大化した矮人は近眼になり遠くが見えなくなる。目が潰れるのはいつになるだろうか。
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