えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

・降りそうで

2025年02月22日 | コラム
 今年は雪が降っていない。山脈の反対側に降り積もる豪雪の雲がこちらまで伸びることはなく、共通試験の時も寒いと言われる日も降らなかった。このまま雪かきとは無縁の一年になるのだと勝手に思いながらテレビの天気予報を見ると、三連休は寒くなりそうだとアナウンサーが両腕を身体に回して震えるジェスチャーをしていた。次の日の朝は晴れていたが、窓枠を超えた寒さが部屋を浸していて布団から出る決意を固めるのに時間がかかる。約束もある。雪が降らなければよいがと思いながら晴天を喜ぶのもつかの間、気がつくと重い雲が空を埋め尽くして白くちらつきながらそのまま垂れて落ちそうな曇天と化していた。窓から道路を眺めるとアスファルトは点々と黒ずみ始め、その黒ずみの上に白い切れ端がちらりと舞っていた。雪だった。
 夜の憂鬱を想像しながら窓を閉めて引きこもり、しばらく過ごしていると雪は止んでいた。これも小春日和に伴う詐欺のような春の手前の一時しのぎかもしれない。今夜の夜半にまた白いものがちらつかないことを祈りながら明日の予定を考えている。外には出なければならないが、積もらないことをとにかく願うばかりである。外には出なければならない。寒さは嫌いではないが、豪雪地帯の雪を見る度に脅されているようで憂鬱になる。まだ空は晴れない。日は射している。雪は降らない。

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