電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の第4幕を見る

2005年08月20日 21時51分47秒 | -オペラ・声楽
ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の最後だ。
王子ドン・カルロが捕らえられた牢獄に、ポーサ侯ロドリーゴがやってくる。エリザベッタを思い失意を嘆くカルロに、ロドリーゴは自分の命が終わり、カルロが釈放されると告げる。ロドリーゴはフランドルの解放を策した手紙類を王に知らせることで自ら銃弾の犠牲となり、王子に希望を託して絶命する。王子を求める民衆の反乱も、王と大審問官の権威の前にしりすぼみとなり、王は腹心だったロドリーゴを悼む。
エボリ公女の機転でカルロは牢獄を出て、修道院の前で愛するエリザベッタと会うが、彼女は民衆のために生きる勇者を心から愛すると励まし、いずれ天上で会いましょうと約す。王と大審問官が現れ、カルロを処刑しようとするが、墓の扉が開き、人々の恐怖の中で、先帝の亡霊がカルロを回廊の影の中に連れ去る。

いや~、何度見ても面白い。ヴェルディの緊迫感あふれる音楽が、この多元的な心理ドラマを彩る。私が好きな場面は、国王と大審問官という二人のバスが火花を散らす王宮の私室のシーン。国王はあと一歩のところまで来ているのに教会の権威を蹴っ飛ばせない。ここは歴史劇であるとともに心理劇でもある。

コメント (2)

雷が鳴り、豪雨が来た

2005年08月20日 18時05分23秒 | Weblog
5時半頃から雷が鳴りはじめ、夕立が来た。薄暮の空に雷光が走る。幸い、雷様はまだ遠くにいるらしく、光ってから16秒以上かかっている。気温が28℃とすると、たぶん、
(331.5+0.6×28)m/s×16s=5572m
くらいか。
などと計算していたら、おっとだんだん近付いてきたぞ。
(隣町で落雷があったらしい)
そしてすごい豪雨がやってきた。ニュースを見ると、大雨洪水警報とのこと。当地では注意報なら時々あるが、警報は珍しい。山間部や低地の方々に被害のないことを祈る。
コメント

セル指揮ロンドン響でヘンデルを聞く

2005年08月20日 13時39分28秒 | -オーケストラ
早朝は大きな音で音楽を聞くわけにはいかないが、ある程度日が高くなってからは、アンプのボリュームを上げ、堂々とした音楽を楽しむことができる。
せっかくの晴天なので、ヘンデルの「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」等を楽しんだ。ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団の演奏、1961年、ロンドンにおけるデッカ録音である。きわめて正確に堂々たるリズムを刻む低音部の上に、金管楽器が輝かしく響きわたる、豪華でノーブルな演奏だ。王様もこれなら満足でしょう。
「水上の音楽」、生前は出版されなかったために、ヘンデルのオリジナル楽譜はほとんど失われてしまい、どんな曲順だったのかもわからないのだそうで、このセルとロンドン響のCDでは、ハミルトン・ハーティ卿の編曲したものに編曲魔のセルがさらに手を加えて演奏効果を高めたものだそうな。で、曲順は(1)アレグロ、ヘ長調、4分の3拍子、(2)エア、ヘ長調、4分の4拍子、(3)ブーレ、ヘ長調、4分の4拍子、(4)ホーンパイプ、ヘ長調、2分の3拍子、(5)アンダンテ・エスプレッシーヴォ、ヘ長調、4分の4拍子、(6)アレグロ・デチーソ、ヘ長調、2分の3拍子、の6曲である。
「王宮の花火の音楽」(ハーティ編)は、(1)序曲、ニ長調、4分の4拍子、(2)アラ・シチリアーナ、ニ長調、8分の12拍子、(3)ブーレ、ヘ長調、4分の4拍子、(4)メヌエット、ニ長調、4分の3拍子、の4曲からなる。
そしてこのCD、最後に歌劇「セルセ」から「ラルゴ」をフィルアップしている。以前、キャスリーン・バトルが歌うCMで有名になった「オンブラ・マイ・フ」だ。これがなんともいえず素晴らしい。
たしか、セルのオーケストラ葬のさいに流れたのがヘンデルの「エアー」か「ラルゴ」かだったはず。悲しみにおぼれず、べたつかず、昂然と別れを告げるにはふさわしい音楽かもしれない。

セルのCDだけに終始してしまいそうだが、LPのほうは、マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏(K18C-9205)、1972年にロンドンで録音されたARGO盤で、マリナーの考えに基づき、順番や楽器編成も入れ替えた全曲版。面白くない学究的な演奏かと懸念したが、意外に爽やかな演奏だった。もう一枚は、フルートのジェームズ・ゴールウェイが指揮をしたヨーロッパ室内管弦楽団の演奏(RCL-8414)。1984年1月、RCAのデジタル録音だが、実はゴールウェイがフルートも吹いていると誤解したという間抜けな記憶がある。
コメント (8)

ラローチャのグラナドス「スペイン舞曲集」を聞く

2005年08月20日 07時07分42秒 | -独奏曲
週末の休日の早朝、音量を絞ってグラナドス「スペイン舞曲集」(POCL-5175)を聞く。ピアノ演奏は、アリシア・デ・ラローチャ。1980年の9月、デッカのスタジオ録音。
私の小規模なライブラリの中でも、同曲異演を多く持つこの曲は特別な存在だ。マヌエル・バルエコのギターソロによる演奏、ノーバート・クラフトのギターによるオーケストラ伴奏版、そしてラローチャの演奏するオリジナルなピアノ演奏。それぞれの演奏表現が、聞く者にロマンティックで誇り高いグラナドスの世界を伝えてくれる。

三浦淳史氏の解説の中に、グラナドスの悲劇的な最後が記載されていた。メトロポリタン歌劇場で「ゴイェスカス」の初演に立ち会った後、ウィルソン大統領に招かれてホワイトハウスで演奏会を開き、スペインへの直行便に乗り遅れたため、イギリス経由で帰国の途についた。ところが、イギリス海峡の真ん中で、ドイツ軍の潜水艦に沈められてしまう。ライフボートに救助されたものの、波間にもがく最愛の妻を発見、助けようと再び海中へ飛び込んだが・・・ということらしい。1916年3月というから、第一次大戦中の出来事か。
コメント