通勤の音楽、昨日・今日とメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」を聞く。LP時代、この曲はジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏が唯一もっていたレコード(13AC-445)だった。それで、この演奏を繰り返し聞いていたものだから、「イタリア」といえばこの快速演奏をイメージするようになった。
CDの時代になって、たまたまシューマンの「春」が目当てで購入したカラヤン指揮ベルリンフィルのCD(F26G-29039)に併録された「イタリア」を聞いて、「おお、こういう演奏もあるんだ」と認識を新たにした記憶がある。
その理由は、第1楽章だ。セルの演奏は速い。ほんとに快速テンポで進んで行く。文字どおりアレグロ・ヴィヴァーチェだ。これに比べて、カラヤンの演奏は、かなりゆったり感がある。
ところが、演奏時間の表記を見てびっくりした。第1楽章、セルの演奏は9分50秒。カラヤンは8分4秒となっている。逆だろ!と思ったくらい。繰り返しの省略とか、改訂や版の違いとか、そういった問題なのか。単純に途中からテンポが変わったためなのかとも思ったが、実質2分近い差は大き過ぎるのではと不思議だ。こういう話になると、素人音楽愛好家はまったく弱い。
第2楽章もまた、セル盤は快速テンポで進む。16分音符もなんのその、合奏の正確さとリズムの切れ味は驚くばかり。第3楽章、コン・モート・モデラート。快速だが優雅な演奏。第4楽章、プレスト、沸騰するようなサルタレロ。ここはもう快速リズムの快感だ。セル盤は、体操のオリンピック選手が見事な演技を見せてくれるような、明晰で健康な力に満ちた「イタリア」だ。
ただし、快速セル盤にいつも満足するかというと、必ずしもそうとはいえない。こちらの体調の思わしくないとき、この速さについていくことが難しい。もう少しゆったりと、思う存分に旋律を楽しみたいと思うことがある。そんな時にはカラヤン盤。カラヤン指揮するベルリンフィルは、旋律を美しく堂々と聞かせてくれる。あ~いい旋律だなぁ~と聞き惚れ(ほとんど弛緩し)ているときに、巧みに緊張感を取りもどさせるような、そんな演奏をする。快速リズムの快感という点ではセル盤にゆずるが、メンデルスゾーンの旋律の快感を楽しませてくれる演奏だ。
参考までに、演奏時間のデータを示す。
■セル指揮クリーヴランド管弦楽団
I=9'50" II=5'17" III=6'36" IV=5'20"
■カラヤン指揮ベルリンフィル
I=8'04" II=6'25" III=7'59" IV=5'36"
■レヴァイン指揮ベルリンフィル
I=10'35" II=5'52" III=6'26" IV=5'52"
■クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
I=11'15" II=6'45" III=6'20" IV=6'00"
CDの時代になって、たまたまシューマンの「春」が目当てで購入したカラヤン指揮ベルリンフィルのCD(F26G-29039)に併録された「イタリア」を聞いて、「おお、こういう演奏もあるんだ」と認識を新たにした記憶がある。
その理由は、第1楽章だ。セルの演奏は速い。ほんとに快速テンポで進んで行く。文字どおりアレグロ・ヴィヴァーチェだ。これに比べて、カラヤンの演奏は、かなりゆったり感がある。
ところが、演奏時間の表記を見てびっくりした。第1楽章、セルの演奏は9分50秒。カラヤンは8分4秒となっている。逆だろ!と思ったくらい。繰り返しの省略とか、改訂や版の違いとか、そういった問題なのか。単純に途中からテンポが変わったためなのかとも思ったが、実質2分近い差は大き過ぎるのではと不思議だ。こういう話になると、素人音楽愛好家はまったく弱い。
第2楽章もまた、セル盤は快速テンポで進む。16分音符もなんのその、合奏の正確さとリズムの切れ味は驚くばかり。第3楽章、コン・モート・モデラート。快速だが優雅な演奏。第4楽章、プレスト、沸騰するようなサルタレロ。ここはもう快速リズムの快感だ。セル盤は、体操のオリンピック選手が見事な演技を見せてくれるような、明晰で健康な力に満ちた「イタリア」だ。
ただし、快速セル盤にいつも満足するかというと、必ずしもそうとはいえない。こちらの体調の思わしくないとき、この速さについていくことが難しい。もう少しゆったりと、思う存分に旋律を楽しみたいと思うことがある。そんな時にはカラヤン盤。カラヤン指揮するベルリンフィルは、旋律を美しく堂々と聞かせてくれる。あ~いい旋律だなぁ~と聞き惚れ(ほとんど弛緩し)ているときに、巧みに緊張感を取りもどさせるような、そんな演奏をする。快速リズムの快感という点ではセル盤にゆずるが、メンデルスゾーンの旋律の快感を楽しませてくれる演奏だ。
参考までに、演奏時間のデータを示す。
■セル指揮クリーヴランド管弦楽団
I=9'50" II=5'17" III=6'36" IV=5'20"
■カラヤン指揮ベルリンフィル
I=8'04" II=6'25" III=7'59" IV=5'36"
■レヴァイン指揮ベルリンフィル
I=10'35" II=5'52" III=6'26" IV=5'52"
■クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
I=11'15" II=6'45" III=6'20" IV=6'00"