「大田区財政の不思議」
どうして
【生きる上で欠かせない社会保障財源は足りない】のに、
【便利で嬉しい蒲蒲線はできる】のか
タイトルを読めば、結論は明らかで、
大田区の優先順位が住民福祉に無い
ということです。
そうは言っても、社会保障のための増税が行われてきていますから、社会保障のための財源はあるはずです。
一方で、蒲蒲線のための増税というのは聞いたことが無いのに、どうして財源が確保できるのでしょう。
私たちが払った増税分は、何に使われているのでしょうか。
具体的にはどういう税金の流れになっているのか、あらためて考えてみました。
私が2003年に議員になってから、社会保障のため、という増税が、少なくとも3回行われています。
1度目が
三位一体改革による税制改正で、
①住民税が定率化して、増税になりました。
*この時、特にお給料を主な収入源とする中間所得層から上の世帯は、10%のまま変わらなかったのですが、定率減税が廃止になって実質の増税でした。これは当時国会で取り上げた議員もいて、定率減税は増税といえる、といった答弁を引き出しています。
*税負担の変化はありませんが、大田区の税収が増えたという意味では、
東京都からの交付金割合が52%から55%に増えています。
2度目が
②消費税率5%から8%
3度目が
③消費税率8%から10%
です。
①~③の直接・間接の増税で、区民の税負担は大きくなりましたし、大田区の税収は飛躍的に増えました
下の棒グラフが、小泉構造改革前、2003年度決算と2021年度決算を比較しています。
右から、
税収
社会保険料
基金(貯金)
です。
特別区民税が205億円増え、消費税地方交付分が102億円増え、特別区交付金(東京都から入る固定資産税・法人住民税)が190億円増えています。
490億円も構造的な変化で大田区の税収が増えているのです。
構造改革とは良く言ったものです。
以下の図は、奈須りえのリーフレットです。ご希望の方はお送りします(メール・郵送)ので、ご連絡ください。
office@nasuri.com
その頃から、大田区では無駄な土地購入や開発もしてきましたが、それでも、余って、基金(貯金)の額が飛躍的に増えています。
上の図の一番左の棒グラフが基金残高の変化。
295億円から1267億円。1000億円近く貯金が増えていますね。
私たちは、税金を払い過ぎてきたんです。
貯金の内訳はこちら
29年~30年に127億円減っているのは、空港跡地に165億円使ったから。
それでも、30億円以上増えているということです。
財政基金は使途の限定されない基金=540億円
現在基金は区債償還のために確保している基金=22億円
公共基金は公共施設箱モノなど=459億円
新空港線基金は蒲蒲線、先日条例を変え、開発にも使えるように変更=80億円
防災対策基金は防災のための開発や建設など=72億円
そのあたりの経緯は、
以下の記事に書かれています。
リンクの方が読みやすいと思います。
http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2022/12/37344aaeb4acb72adebfcd4ecf08f569-1-scaled.jpg
そもそも、
社会保障は、国の制度の枠組みで運営されています。
大田区は、介護保険、国民健康保険は、保険制度に従い運営されているので、一般財源の持ち出しはしないし、出来ないと言っています。障害福祉サービスは、自立支援法の枠組みで運営されています。
たとえば、介護保険は、介護サービスで使った分の半分を税金で、残りの半分を私たち(40~64才、65才以上)が保険料で負担する仕組みになっています。
生活保護は、国の補助割合が大きく、大田区の負担は、約1/4です。
人口に対し、割合はほぼ一定で、近年下がる傾向にあります。人口の多い大田区で、生活保護負担が増えたから、増税分に使ったという理屈は、一部が使われたとしても影響額で見れば、それを理由にするのは、成り立たないと思います。(大田区もそうは言っていません)
ほかの社会保障と言えば、
障害福祉は、自立支援法の枠組みの中で運営されています。
逆に大田区は、移送サービスなど減らしています。
発達障害の療育も足りません。
保育は、国の補助をなくすといわれたので、その分財源を確保できるか、一番の関心事でした。
だから、三位一体改革が行われ、増税になったと言っても良いのです。
ところが国は、廃止したはずの補助を、復活させたので、自治体は増税分財源を確保できました。
(民営化で待機児を解消したら補助金を出すと、誘導したのです。)
人口が増えたとはいえ、増税分、直近で比較すれば490億円、どこに使ってしまったのでしょう。
その一部を貯金(基金)して、箱モノや蒲蒲線などの財源としてプールしてきたのです。