大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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大田区の税の再分配の課題・問題 令和7年(2025年)3月11日 大田区議会 予算特別委員会 福祉費 質問

2025年03月13日 | ├財政・金融

所得再分配調査から、日本の当初所得は、危機的状況にあることがわかります。

しかも、税や社会保険料を徴収し、社会保障制度で再分配しても、表面上の数字は、

国の言葉を借りても【一定程度の効果】しかなくて、
消費税は反映させていないなど、足りない部分が見えてきます。

そのうえ、こども保険をつくり、更に社会保険料から社会保障費を出させて、区民や企業の社会保険料負担を増やし、自由に使える一般財源を確保しようとしている構図が見えてきます。

想定して作った質問原稿です。言いたかったことが少しでも伝われば、嬉しいです

=====

 

 

フェアな民主主義 奈須りえです。

今日は、タブレットとお手元にお配りした資料などを元に、格差の是正となる所得の再分配機能を持つ扶助費について質問させていただきます。

 

資料1
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江1 OTAシティ・マネジメントレポートp64

資料2
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江2 消費税と扶助費・特別会計繰出金一般財源充当分

資料3
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江3 令和3年所得再分配調査報告書p6

資料4
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江4 大田区令和7年度予算(案)の概要p15

資料5
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江5 大田区令和7年度予算(案) 今後の財政見通しについて

 

ネットでご覧になっている方は、よろしければ、なすりえとひらがなで検索し、2025年3月11日のブログかHPの資料をみながらお聴きください。

所得再分配調査について令和5年の決算委員会で取り上げました。


所得再分配調査と大田区財政からわかる「だから格差が広がった」 - 大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!


所得が減っているのに、税も社会保険料も増えていて、可処分所得が大きく減っていました。

しかも、所得再分配調査に、消費税は反映されていなかったので、減った可処分所得からさらに、消費税分少なくなっていました。

2005年に5%だった消費税は、2014年に8%、2019年に10%に上がっています。

結果をもとに、こうした区民生活の実態を踏まえて大田区政が執行出来ているのか、問題提起させていただきましたが、そうはなっていないことがわかります。

 

シティマネジメントレポートを読んだら、消費税は、引き上げるたび社会保障のため、と言われてきたのですが、大田区が、全額社会保障に使う財源と位置付けていなかったからです。

 

★資料1シティマネジメントレポートの資料
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江1 OTAシティ・マネジメントレポートp64

 

 

 

左下の棒グラフをご覧ください。

濃い色の高い棒グラフが
扶助費と言われる生活保護、保育園、児童手当、乳幼児医療費助成、障害者などの費用から国や都の負担金を除いた金額と国民健康保険、後期高齢、介護保険などの特別会計に一般会計から繰り出した金額の合計

低い棒グラフが、地方消費税交付金(社会保障財源分)です。

 

簡単に言うと、高い方の棒グラフは扶助費など社会保障への支出
低い棒グラフは消費税です。

たとえば、令和5年度決算で
扶助費などは733億円
そのうち消費税の社会保障財源分が108億円とかかれています。


調べたら、この消費税108億円は、大田区の消費税総額ではありませんでした。

 

 

裏面の★資料2に各年度ごとの、大田区の消費税地方交付分と大田区が、社会保障財源分とした消費税額を抜き出してみました。

資料2
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江2 消費税と扶助費・特別会計繰出金一般財源充当分

 

平成26年以降、大田区に入ってきた消費税地方交付分総額は1739億円でしたが、大田区が社会保障財源分としたのは872億円。それとほぼ同額の867億円を社会保障財源と位置付けていないということです。

 

このシティマネジメントレポートのグラフからは、

「社会保障に使っている扶助費などの総額に対し、社会保障財源と言われる消費税はあまりに少ない。」
「消費税のうち国が社会保障財源分とした以外は、社会保障に使わない。」
「社会保障財源は不足している。」

という大田区のアピールを感じます。


ところが、令和7年度で、大田区が社会保障に使うべき、自由に使える一般財源は、国が決めた消費税のうちの社会保障財源分だけではありません。

特別区税、特別区交付金、消費税など、合わせて2150億円あるのです。



一方で、
この一般財源を余らせては、
●公共施設整備や
●羽田空港や
●蒲蒲線などのため

基金に貯めて財源を確保し、
社会保障には使えないようにしているのですから、

いかに社会保障を軽視し、社会保障以外の用途を捻出しようとしているのかが見えてきます。



東調布中はじめ、複合化で区民との紛争になるのも、蒲蒲線で民間企業の駅ビル建て替えの上乗せ支援をしよう、と言えるのも、有り余る一般財源を社会保障以外の用途に使っているからです。


扶助費は、支出が義務づけられ、任意に節減できない義務的経費ですが、
グラフを見ると、一般財源を扶助費以外に使おうとする意図を感じ、心配でなりません。

これが今の私の政策課題の一つで、今日のテーマでもあります。


区民は、消費税は社会保障のために上がったと思っています。
物価に連動して負担も増え、消費税への不満は高まるばかりです。

消費税は、社会保障以外に使うなどとは考えず、区の扶助費や社会保険に使うべきですし、一般財源の優先順位は扶助費にあることを踏まえ、余るなら、実態に即した財政分析し、取り過ぎの税金を是正すべきです。

所得の格差を表すジニ係数は、1に近いほど格差が大きいことを表し、0.4を超えると常軌を逸して格差が大きいと判断されるそうです。

資料3の令和3年の所得再分配調査でジニ係数は★1の0.57ですから、危機的状況だというのがわかります。

資料3
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江3 令和3年所得再分配調査報告書p6

 




この0.57が、税金と社会保険料を納めていただき、社会保障で、軌道を逸すると言われているジニ係数0.4をかろうじて下回る0.3813になっているというのがこの資料です。

そのうち、税と社会保険料を徴収して改善できたのは、4.7%にすぎなくて、残りの29.8%は、社会保障によって改善したと言う意味です。

 

大田区は、国の所得再分配調査の評価だけを切り取り、
「公平な社会は維持されている」ことにして現実の格差を無視して税金を使っていますが、

平成28年は【格差を防止】と評価したのが、
令和3年は【社会保障・税の再分配機能に一定の効果】とかなり弱い口調になっている

ことを直視すべきです。


令和3年と令和6年に低額所得者への給付が行われましたが、不思議なことにちょうど所得再分配調査の年です。

国も、今の所得再分配効果に自信が無いのだと思います。


一部の超高額所得者層との格差を是正するには、税金を集める方法も変えなければなりませんが、大田区は、区民の生活実態を踏まえ、区民の皆さまからお預かりした税金をどう使うかがより大切になるということです。

 

そこでうかがいます。

資料番号4をご覧ください。

資料4
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江4 大田区令和7年度予算(案)の概要p15

うかがいます。

  • 令和7年度予算案に、扶助費1093億円、他会計繰り出し金として248億円が計上されています。
    この扶助費と国保、介護、後期高齢への一般財源からの繰り出し金合計1341億円が、国所得再分配調査において、再分配され、格差が是正される金額だということで良いのでしょうか。

 

今年の総予算は一般会計で3570億円ですが、格差を是正する社会保障に相当する扶助費は、1341億円ということです。

区は、区報で予算の成立を大きく取り上げ、福祉費が全体の半分以上を占めていると強調しますが、福祉費と扶助費は似ている部分もありますが、厳密には違うという事です。

往々にして、社会保障負担を福祉費や福祉関係費という言葉ですり替え、財源が足りないよう見せますが、格差を是正し、より公平な社会にするために使っている財源は扶助費だという事です。

 

しかも、この

令和7年度予算の扶助費、1093億の全額を区の一般財源で負担しているわけでは無く、国と都の支出金が含まれています。

そこでうかがいます。

令和7年度予算の扶助費の一般財源充当額と、国保、介護、後期高齢の3特別会計への一般財源からの繰り出し金は、合わせていくらですか。

大田区の扶助費と言いますと、生活保護、児童手当、保育、障害福祉、介護、国保、後期高齢などが有ると思いますが、ほかも含め、扶助費で、一般財源充当額が多い事業から順に、たくさん準備なさっているかも知れませんが、主な事業だけで結構ですから、簡潔にお答えください。

 

扶助費と特別会計繰出金1341億円のうち、一般財源で負担するのは、その全額ではないということです。

生活保護も、民営化した保育園も、国や都の補助がつきます(だから民営化が進みました)。

大田区の社会保障負担は、みかけほどではないということです。

もちろん扶助費提供を可能にするための人件費や施設費も必要ですが、扶助費に国や都の負担があることを忘れてはならないと思います。

 

ところが、

国は、税金で負担してきた子育て支援費を公的医療保険制度に組み入れ、こども子育て支援金制度=こども保険をつくってしまいました。

 

予算案の
所得制限の無い18歳以下の子への児童手当給付金29億円や妊婦のための支援給付の増は、こども子育て支援金制度によるものです。

 

今は、国が国債で負担していて、上乗せ徴収は始まっていませんが、令和8年4月から段階的に保険料の上乗せ徴収が始まります。

 

大田区には、2150億円もの一般財源があるのに、自治体は交付金で基礎的財源は担保されているのに、私たちから社会保険料ではありますが、あらたな負担増を求めるのです。増税したということです。

 

 

資料1の5行目(ピンクアンダーライン)、シティマネジメントレポートで、社会保障費関係費が区の一般財源を拘束していると書いていた、

この子育てに関わる扶助費である義務的経費の拘束を取り除き、区民と企業に公的医療保険料として負担させる仕組みを作ったのです。

 

大田区は、こども子育て支援金制度の質問をしたとき、大田区が負担してきた児童手当を負担しなくてすみ、大田区が縮減できる財源は34億円と答弁しています。

 

児童手当という格差を是正する社会保障に使ってきた税金34億円が、蒲蒲線の駅ビル建て替えや、蒲蒲線のまちづくりや、市場性を有する公共施設など、社会保障以外の一部の利害関係者に使われれば、その分、格差が広がることになります。


資料5の2ページ目をご覧ください。

資料5
福祉費(フェアな民主主義) 奈須利江5 大田区令和7年度予算(案) 今後の財政見通しについて



そこで、気になるのが、

  • 大田区が、令和7年度大田区予算(案)概要に添付している令和7年度予算編成等基本方針について、の中で、扶助費は、現行制度を踏まえ、各対象年齢における人口推計等を元に推計し、たとあり、今後、扶助費や特別会計拠出金といった社会保障関係経費が増加傾向にあると指摘していることです。

下記、ピンクアンダーライン

 

 

 

現行制度と人口推計で見れば、

🔴生活保護の受給率は増えていませんし、逆に、単身世帯化して受給者数は減っています。
🔴保育園も少子化です。
🔴国民健康保険も事業者に保険の加入義務を課すようになっていて、被保険者は減っています。

増えるとすれば、高齢化で介護保険、後期高齢者医療制度ですが、
資料5―1をご覧いただくとわかるように、ピンクアンダーライン、特別会計への繰り出し金はそれほど増えていなくて、一般会計の扶助費が大幅に増えているのです。


しかも、特別会計の扶助費は、国や都の負担がありますから大田区財政への影響額は、これより小さくなりますが

扶助費より大きく増えるので注目すべきが
青のアンダーラインの、投資的経費とその他の歳出です


そこで、うかがいます。区は、扶助費や特別会計拠出金といった社会保障関係経費が増加傾向にあると指摘していますが、国・と負担金を除いた一般財源投入額も増えますか?増えると推計したのは、どの事業で、増える要因と増える見込みの金額はいくらですか。

また、現行制度という事は、昨年できた、こども子育て支援金制度の影響は、見込んでいないという事ですか。令和7年度予算で、こども子育て支援金制度改正でできた児童手当の変更は見込んでいますが、見込むと、大田区の一般財源投入額は増えますか?減りますか?

 

 

令和7年度予算には、支援金制度の児童手当給付金などが含まれています。

★改正支援法の施行は10月でしたが、法律は6月に成立しています。予算編成に反映させながら、資料5の令和6年7月24日に作った今後の税制見通しに、法施行後の制度を入れずに見通すと言うのはいかがなものでしょうか。

 

こども保険をつくったことの影響を考えると、怖くなります。

 

2000年の介護保険の時と同じ
あるいは、それ以上のことが起きようとしているからです。


国は意図的に、区民や国民に気づかれないよう制度導入のシナリオを描いたのかもしれませんが、大田区は、区民への説明責任として、制度について言及すべきだと思います。

引き続き、こども保険含めた、日本の社会保障体系が区民生活に及ぼす影響について取り組んでいきたいと思います。



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