いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ナショナリズムと首相。 nationalism and prime minister

2013-03-13 19:37:13 | 日記
 (1)領土、領海、領空の「主権」範囲に必然的な根拠、理論、哲学を求めるならば、「実効支配(practical government)」しかない。どんな自然則も歴史観も、もちろん法律則などで理路整然と正当性を解説、説明できるものではない。

 つまり領土は統一した方則がない時代から、誰が最初に発見し、定住して組織化し、持続的に実効支配してきたかだけだ。領域が不確定に広大、広域の領海、領空は、その後の近代社会になって世界統一の連合体(国連)が出来て相互共存、共栄、共生条件として基準づくりがなされて原則主張している主権付随要件だ。

 (2)尖閣諸島の領有権問題で実効支配する(つまり主権)日本と中国、台湾がそれぞれに領有権を主張しているが、歴史観など持ち出しても客観的正当性、実証性は存在しないから、実効支配する日本の主権は現実に存在する。

 パラドックス(paradox)として、北海道千島北方4島、島根県の竹島と主張する日本の領有権はそれぞれにロシア、韓国に戦後占領、実効支配されて日本に主権は存在しない。
 主権とはそういう愛国、自治、独立主義のナショナリズムに訴える政治哲学でもある。

 (3)安倍首相は今通常国会の衆院予算委員会で「(第二次世界)大戦の総括は日本人自身の手ではなく、いわば連合国側の勝者の判断によって断罪がなされた」(報道)と日本を大戦に導いた当時の戦争指導者、煽動者(極東軍事裁判の戦争犯罪人)をかねての「国内法的に戦争犯罪人ではない」という持論で再び展開した。

 尖閣諸島問題も海保庁規模で「実効支配」する日本が主権概念も正しく理解せずに、必要に迫られた訳もないのに国有化して、中国、台湾の要(い)らぬ関与を引き出しての緊張外交関係を勝手に生みだしたが、今回の安倍首相の「A級戦犯」言及問題も、要らぬ寝た子を起こす不注意発言だ。

 (4)戦争に「いい」も「悪い」もなく、どちらにしてもただ国民を犠牲にしての愚かで理不尽、国益不経済な国威(national prestige)行為でしかない。
 その戦争指導者、煽動者を勝者が断罪したからといって、敗者(国民犠牲強要)から指導者、煽動者の行動を正当化することなど出来る訳などないのに、安倍首相の歴史観はナショナリズムに偏向しているだけだ。

 国体としての戦争責任と国民体としての戦争責任を切り離して、国体(国民が介在する政治でもないし、つまりナショナリズム)を擁護、弁明するだけの要らぬ主張で、国粋主義者でもあるまいし、まして2013年の首相が述べる賢明な言葉ではない。

 (5)保守本流といわれる安倍首相の本質性はまだよくわからないが、憲法改正、自主憲法制定、集団的自衛権容認、集団安全保障体制と徐々にナショナリズム論が頭角をあらわしてきており、今回のA級戦犯の国内法的否定論はどこかで主張せざるを得なかった(そうしたかった)のだろうが、政治を離れてひとりの国粋主義者として述べるべき主義、主張であった。

 

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