(1)東日本大震災2年経過した3月11日に福島県民や県外避難者ら1650人が東電と国を相手に53億6千万円の賠償請求訴訟を地裁、同支部に起こした。政府は「原子力損害賠償紛争解決センター」を設けて弁護士を仲介委員に双方和解を目指しているが、設立から1年半たっても和解(accommodation)が成立したのは申立ての30%(報道)とまったく進んでいない。
和解は紛争を早期に解決する有効な手段だが、前代未聞の広域大震災被害で膨大な申立者の立場、事情が異なるケースではなかなかち密にケース・バイ・ケースとはいかない、一律、一括対応の中での交渉に不満、不足が発生するものだ。
(2)「東電側がのまないと和解できないので、被災者が妥協を迫られる形になる」(仲介弁護士)との指摘もある。前民主党政権時代には東電の国有化が言われ、東電からの要請にもとづいて国民投資(税)から数兆円規模の資金供与も行われて政府の経営関与も行われている。
東電には、そもそも原発推進はエネルギー政策の行政主導(administrative initiative)で進められたとの思惑(現実は東電が主力の行政、事業者、専門家の原子力村主導だ)があり、政府責任論もくすぶっている。
(3)安倍政権になってからは前民主党政権の「原発30年代にゼロ」政策を根拠のないものとして「ゼロ」から見直すとしており、原発再稼働にも言及して、東電(原発賠償)責任問題もあまり聞かれなくなっている。
東北太平洋側一帯のほぼ壊滅的な被害の中での原発事故による帰宅困難地域、経済損失問題を抱えて、実態把握、対象特定、損害額算定に技術的なむずかしさが根底にはある。
広域災害被害賠償となると、個別対応では公平、公正な判断、迅速な手続きなど求めようもなくて、政府なり専門特別機構による仲介、基準、斡旋方式は避けられない。
(4)仲介業務の賠償紛争解決センターから一歩踏み込んでのこうした損害賠償促進環境を政府が主導して整備すべきだ。
被災者の当初からの東電の賠償対応への不満、不信はわかるが、それぞれに集団訴訟(group procedure of a.p.p damages)とはいえ裁判に個別対応を求めていては解決を遅らせるだけで、福島第一原発事故損害賠償(damages)の目的、意義、効果を見失い、結果として賠償問題、提起を多岐にしてあいまいにして、求めるだけの損害賠償を早期に勝ち取ることが出来ないのではないのか。
東電と被災者の損害賠償窓口をできるだけ一本化して、できれば和解を含めて公平、公正で迅速な手続きによる損害賠償の支払いに結びつけることが求められる。そのための政府主導の賠償環境づくりが必要だ。
(5)政府には原子力行政を原発安全神話(safety legend)のもとに推進してきた責任はあり、国民の安全、生命、財産、生活、権利を守る義務がある。
民間寡占、独占事業としての電力、原発事業者責任論はあるが、そういう事業環境を保障した政府が責任主導して寡占、独占民間事業者を指導して損害賠償業務、支払い業務を加速させる意味はある。
政府は復興省を立ち上げて、東電も福島復興本社を立ち上げており、今後40年にも及ぶ原発廃炉、被災地インフラ整備だけでない被災者生活支援、そのスタートとなる「損害賠償問題にも解決責任」を持つものであることを自覚した責任対応をとらなければならない。
和解は紛争を早期に解決する有効な手段だが、前代未聞の広域大震災被害で膨大な申立者の立場、事情が異なるケースではなかなかち密にケース・バイ・ケースとはいかない、一律、一括対応の中での交渉に不満、不足が発生するものだ。
(2)「東電側がのまないと和解できないので、被災者が妥協を迫られる形になる」(仲介弁護士)との指摘もある。前民主党政権時代には東電の国有化が言われ、東電からの要請にもとづいて国民投資(税)から数兆円規模の資金供与も行われて政府の経営関与も行われている。
東電には、そもそも原発推進はエネルギー政策の行政主導(administrative initiative)で進められたとの思惑(現実は東電が主力の行政、事業者、専門家の原子力村主導だ)があり、政府責任論もくすぶっている。
(3)安倍政権になってからは前民主党政権の「原発30年代にゼロ」政策を根拠のないものとして「ゼロ」から見直すとしており、原発再稼働にも言及して、東電(原発賠償)責任問題もあまり聞かれなくなっている。
東北太平洋側一帯のほぼ壊滅的な被害の中での原発事故による帰宅困難地域、経済損失問題を抱えて、実態把握、対象特定、損害額算定に技術的なむずかしさが根底にはある。
広域災害被害賠償となると、個別対応では公平、公正な判断、迅速な手続きなど求めようもなくて、政府なり専門特別機構による仲介、基準、斡旋方式は避けられない。
(4)仲介業務の賠償紛争解決センターから一歩踏み込んでのこうした損害賠償促進環境を政府が主導して整備すべきだ。
被災者の当初からの東電の賠償対応への不満、不信はわかるが、それぞれに集団訴訟(group procedure of a.p.p damages)とはいえ裁判に個別対応を求めていては解決を遅らせるだけで、福島第一原発事故損害賠償(damages)の目的、意義、効果を見失い、結果として賠償問題、提起を多岐にしてあいまいにして、求めるだけの損害賠償を早期に勝ち取ることが出来ないのではないのか。
東電と被災者の損害賠償窓口をできるだけ一本化して、できれば和解を含めて公平、公正で迅速な手続きによる損害賠償の支払いに結びつけることが求められる。そのための政府主導の賠償環境づくりが必要だ。
(5)政府には原子力行政を原発安全神話(safety legend)のもとに推進してきた責任はあり、国民の安全、生命、財産、生活、権利を守る義務がある。
民間寡占、独占事業としての電力、原発事業者責任論はあるが、そういう事業環境を保障した政府が責任主導して寡占、独占民間事業者を指導して損害賠償業務、支払い業務を加速させる意味はある。
政府は復興省を立ち上げて、東電も福島復興本社を立ち上げており、今後40年にも及ぶ原発廃炉、被災地インフラ整備だけでない被災者生活支援、そのスタートとなる「損害賠償問題にも解決責任」を持つものであることを自覚した責任対応をとらなければならない。